【撮影基礎講座6】マニュアル露出でワンランク上の写真。露出計を使ってMモードで撮ってみよう
今回はマニュアル露出での撮影方法と、露出計の簡単な使い方について解説します。
マニュアル露出とは、シャッター速度と絞りの値を、どちらも手動で設定して撮影することです。
以下の記事で、カメラが自動で露出を算出してくれるモードについて解説しました。
それに対しマニュアル露出なら、撮影者の意図をさらに的確に反映した撮影を行うことが可能となるのです。
ただしそのためには、撮影する被写体の明るさがどれくらいなのか、「適正露出」を求めることが必要になります。
そこで使うのが、カメラに内蔵された露出計。
露出計を使うことで、初心者の方でも簡単に適正露出でマニュアル撮影ができますよ。
それでは具体的に、マニュアル撮影の方法についてみていきましょう。
目次
【撮影基礎講座】全体のもくじはこちら
1:露出とは
2:シャッター速度とは
3:絞りと被写界深度
4:ISO感度とは
5:カメラの撮影モード P・A・S・M
6:マニュアル露出
7:露出計の種類
8:ピントとボケ
9:画角と焦点距離
10:ホワイトバランスと色温度
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マニュアル撮影とは
マニュアル撮影(Mモード)とは手動で露出を設定するモードのこと。
絞りとシャッター速度という2つの値を自分の手で決めて撮影するということです。
マニュアルでの撮影方法
それでは早速、マニュアル撮影の方法をみていきましょう
マニュアル撮影で設定するのは以下の2つです。
1.絞り
絞りとは、レンズの中にある「光を取り込む量」を決める部分。
F1.4、F2、F2.8、F4……というように、絞りの値(F値)を設定します。
絞りについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
絞りの操作は以下の部分で行います。
フィルムカメラでは、レンズについた絞りリング。
新しめのオートフォーカスのフィルムカメラや、現代のデジタル一眼レフ、ミラーレス一眼カメラでは、カメラ本体についたダイヤルで設定することが多いです。
ただし位置や操作方法は機種によって異なるので、詳しくは説明書や、当サイトのカメラ解説をぜひ参照してください。
2.シャッター速度
シャッター速度では、1/125秒、1/250秒といったように、シャッターが開く時間を設定します。
シャッター速度はカメラ本体のシャッターダイヤル、またはコマンドダイヤルで設定を行います。
シャッター速度を変えると、「物の動き」や「流れ」「時間」の表現を行うことが可能となります。
シャッター速度についてはこちらの記事で解説しています。
絞りとシャッター速度を自分で決める
それでは絞りとシャッタースピードを自分で決めるにはどうしたらよいのでしょうか。
それには、2つのことが関係してきます。
まず、適正露出。
そして、撮影者の表現意図です。
初めてマニュアル撮影をする場合には、まずは適正露出で撮影できることを目指すのがおすすめ。
マニュアルで適正露出でで撮れるようになったら、表現を少しずつ試みていくとよいでしょう。
適正露出
適正露出とは、写真が明るすぎもせず、暗すぎもせず、適切な光の露光量で撮影できている状態のこと。
詳しくはこちらの記事で詳しく解説しています。
では、適正露出はどのようにして求めればよいのでしょうか。
昼間に太陽がカンカン照りのときと、曇り空のとき、夜、室内。
撮影する場所によってカメラに取り込むことができる光の量は大きく異なります。
条件によって異なる光の量のなかから、適切な量だけカメラに光を取り込む。
とても難しいことです。
じつは、適正露出は、日中の屋外など、条件によっては、慣れている人なら勘でも求められます(あとで説明します)。
ですが初心者には難しいことですし、慣れている人でも、完璧な勘露出ができる人は、よほどの達人でないかぎりは存在しません。
そこで登場するのが露出計。
露出計の指し示した値を基準に、適正露出を求めればよいのです。
露出計を使って適正露出を求める
カメラには露出計というものが内蔵されています。
露出計とは、「被写体の明るさを測る道具」です。
もう少し専門的に説明すると光を計測する受光素子(センサー)によって求められた光の強さを指し示すメーターのこと。
フィルムカメラ内部の受光素子(センサー)の例
カメラに内蔵された露出計は、撮影する被写体がどれくらいの明るさなのかを計測。
計測された値は、カメラの中にあるメーター指針やLEDで表示されます。
マニュアル露出のときには、絞りリングやシャッターダイヤルで値を変えると、露出計の表示が変わります。
絞りやシャッタースピードを適切に設定すると、露出計の表示が「適正露出」になります。
適正露出になったらシャッターを切って撮影すれば、簡単に適正露出の写真が撮れるのです。
なお、もちろん露出計の値を基準にして、意図的に写真を明るめにしたり、暗めにしたり自分で設定することもできます。
露出計の表示例
カメラの機種により異なりますが、露出計は針やメーター、LEDなどで表示されます。
例えば……
液晶画面に表示されるもの。
ミラーレス一眼では基本的にこのような表示です。
露出計の針を中央に合わせるもの。
以下はフィルムカメラの例です。
LEDの表示を中央に合わせるもの。
露出計の針をファインダー脇のシャッター速度表示と重ね合わせるもの。
機種や時代、メーカーにより方式はさまざまなので、詳しくはお持ちのカメラの取扱説明書を参照するのがおすすめです。
露出計についての注意点
ただし、カメラに内蔵されている露出計を使うときには注意も必要です。
内蔵露出計の問題点。
それが「黒い被写体・白い被写体」と「暗い被写体・明るい被写体」を見分けることができないということ。
そのため、黒いものを撮るときに、露出計が指し示したそのままの値で撮影すると、写真全体が明るすぎる露出オーバーになってしまいます。
逆に白いものを撮影すると、画面全体が暗すぎる露出アンダーになってしまいます。
このような露出計の特徴については、こちらの記事で解説しています。
マニュアル撮影のメリット
そんなマニュアル撮影は、一見すると不便なようにも見えます。
ですが大きなメリットがあるのです。
露出計の特徴に左右されず、自分で補正できる
まず、上で紹介したような「白い・黒い被写体」でも、露出計の特徴に左右されずに一定の露出で撮影できるということ。
プログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AEといった、カメラが自動で露出を決める方式でも、露出を決めるためには同じ仕組みの露出計を使っています。
そのため、上記の自動露出でそのまま撮影すると、露出オーバーや露出アンダーになりやすくなってしまいます。
もちろん、自動露出でも露出補正を行うことで適切な明るさで撮影することはできます。
ただし、白い被写体と黒い被写体を連続して撮影するようなときには、いちいち露出補正をし直さなくてはなりません。
その点、マニュアル露出なら、一度露出を適正に設定すれば、白いものも黒いものも、同じ照明のもとでは適切な明るさで撮影することが可能なのです。
絞りやシャッター速度を使った表現をしやすい
絞りやシャッター速度を操作して、写真の表現意図をさまざまに変えるためには、マニュアル露出が最も融通がききます。
慣れてくると、シャッターチャンスよりも写真の画作りを重視する場合にはとくに、マニュアル露出で撮影することが増えるでしょう。
露出計のあるカメラとないカメラ
カメラの種類によって、露出計があるものとないものがあります。
また、内蔵されている露出計にも様々な種類があります。
露出計のあるカメラ
基本的に、現代のデジタルカメラやスマートフォン内蔵のカメラはすべて、露出計を内蔵しています。
フィルムカメラでも1960年代以降の機種はほとんど露出計を内蔵しています。
ただし、フィルムカメラでは内蔵されている露出計の種類や、光の測り方の特性にさまざまな種類があります。
まず、
・レンズを通った光をそのまま測るのか
・レンズ以外のところで光を測るのか
ということ。
そして
・レンズを通った光を測る場合、どれくらいの範囲を測るのか
ということです。
このような、露出計の種類についても、以下の記事で詳細に解説しています。
併せてご覧ください。
露出計がないカメラ
主に1950年代以前のカメラは、露出計がないのが普通です。
また、ライカのようなレンジファインダーカメラ、そして中判カメラや大判カメラにも、露出計がないものが非常に多く存在しています。
そのようなカメラで撮影する場合、適正露出を求めるために単体露出計という道具が使われています。
単体露出計についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
豆知識:露出計がないカメラは「サニーシックスティーン」で撮影
ところで、露出計がないカメラを使うとき、「単体露出計」のような道具がなくても撮影することができるので、覚えておくと便利です。
キーワードは「サニーシックスティーン」。
これは昔から写真愛好家の間で知られている秘密の言葉です。
どのような内容かというと……
「晴れている日」の露出は「シャッター速度を感度の数字に設定」して「絞りをF16(シックスティーン)」に設定すればよいということ。
つまり、例えば
ISO400のフィルム なら
→シャッター速度1/500(400の近似値)で絞りF16
ISO100のフィルム なら
→シャッター速度1/125(100の近似値)で絞りF16
にすれば、適正露出となるのです。
もちろん、夕暮れ時や曇りの日には、このままだと露出不足になってしまいます。
でも、たったこれだけのことを覚えておけば、露出計がなくても写真は撮れるんですよ!
マウントアダプターでマニュアル撮影する場合
最後に、フィルムカメラの時代の古いレンズ「オールドレンズ」をミラーレス一眼カメラやデジタル一眼レフカメラに取り付けて撮影する場合についても解説します。
マウントアダプターを使って撮影する場合、マニュアル露出を多用することとなります。
使い方は基本的にこの記事で解説したのと同じです。
・絞りはレンズの絞りで設定する
・シャッター速度はカメラ本体のダイヤルで合わせる
という方法となります。
ミラーレス一眼カメラでは、マウントアダプターを使ったときも基本的には露出計は動作します。
デジタル一眼レフカメラでは、露出計が動作するものとしないものがあるので、詳しくは説明書や、当店公式サイトの関連記事をご覧ください。
ミラーレス一眼カメラやデジタル一眼レフカメラでのマウントアダプターを使った撮影については、こちらの記事で詳しく解説します。
併せてご覧ください。
マニュアル露出でより高度な撮影を楽しもう
絞り優先AEやシャッター優先AE、そしてプログラムAEでも、もちろんきれいな写真を撮ることはできます。
でも、マニュアル露出の方法を覚えると、より高度な、より自分が撮りたい写真を写すことができますよ。
ぜひ慣れてきたらマニュアル撮影に挑戦してみてくださいね。
1:露出とは
2:シャッター速度とは
3:絞りと被写界深度
4:ISO感度とは
5:カメラの撮影モード P・A・S・M
6:マニュアル露出
7:露出計の種類
8:ピントとボケ
9:画角と焦点距離
10:ホワイトバランスと色温度
2023年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
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