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【撮影基礎講座1】誰でもわかるカメラの露出。絞り・シャッター速度・感度で写真をコントロール!

露出とは?

カメラで写真を撮るときの「露出」とは?
そして「適正露出」ってなに?

(カメラの使い方についての記事一覧はこちら:ここにリンク)

写真を撮るときに、画像が暗すぎたり、明るすぎたりすることはないですか?
デジタル一眼カメラでも、フィルムカメラでも、スマホのカメラでもよくあるそんな悩み。

「露出」について知ることで、簡単に「適正露出」の写真が撮れるようになりますよ!
この記事では、露出を決めるために必要な「絞り値」「シャッター速度」「感度」について解説します!

【撮影基礎講座】全体のもくじはこちら

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カメラの「露出」と「適正露出」とは?

カメラを使っているときによく聞く単語、「露出」。

露出とはなにを意味するのでしょうか?

露出とは

「露出」とは、カメラの中のフィルムやイメージセンサーに光をあてることです。

フィルムとイメージセンサー

カメラの中にはフィルム(フィルムカメラの場合)やイメージセンサー(デジタルカメラの場合)という、光を写真として記録する部分があります。
シャッターを開くことでこの部分を光に「露出」することで、写真を撮ることができるのです。

とはいえ、適当に光をあてればよいというわけではありません

光が多すぎると「真っ白」に。
光が少なすぎると「真っ黒」になってしまいます。

そこで、カメラには光を調整して、適切な量取り込む機構が備わっています。

この、適切な量の光のことを「適正露出」といいます。

適正露出とは

では、適正露出だと写真はどうなるのでしょうか?

適正露出

この写真は適正露出といって差し支えない写真。
暗いところから明るいところまで、色彩やコントラストが肉眼と同じように写っています。
一見して、肉眼で見ているのと同じような画像で、違和感はありません。

このように、適正露出というのは、撮った写真が白すぎることも黒すぎることもなく、自然に写っている状態
現代のデジタルカメラやスマホには自動的に適正露出にする機能が備わっているので、ほとんどのシーンでは適正露出で撮影することが可能です。

では、適正露出ではないとどうなるのでしょうか?
「露出オーバー」と「露出アンダー」の写真を見てみましょう。

露出オーバーとは

次の写真は、露出オーバー

露出オーバー

写真の白っぽい部分が真っ白になる、いわゆる白飛びをしてしまっています。
また、白飛びしていない部分も、色が全体的に薄く、コントラストが低くなっています。

このように、写真が明るすぎる、白すぎることを露出オーバーといいます。

露出アンダーとは

こちらの写真は露出アンダー

露出アンダー

露出オーバーとは逆に、写真全体が暗く、黒っぽくなっています。
また、真っ黒な部分は細かい描写がつぶれて見えなくなってしまっています。

このように、暗すぎる、黒すぎることを露出アンダーといいます。

「暗い場所だから暗くなる」のではない

勘違いされがちなのが、写真が暗くなるのは、「暗い場所で写真を撮ったから」ということ。

でもそれは間違い。
写真が暗くなるのは、暗い場所で撮ったからではありません。
同じように、写真が明るくなるのは、明るい場所で撮ったからではありません

暗い場所でも明るい写真は撮れる

たとえば、こちらの写真は夜に撮影しています。

夜に撮影

ところが、カメラの「露出」の設定を変えると、夜なのに写真を明るくすることができるのです。

夜でも明るい

露出オーバーになったり、露出アンダーになるのは、「カメラの中に取り込んだ」光が、多すぎたり少なすぎたりするため。

なので、暗い場所でも明るい写真を撮ることはできるし、明るい場所でも暗い写真を撮ることはできるのです。

「露出」について知る

写真の明るさを決める「露出」。

それでは、露出はどうやって決まるのでしょうか?

自由自在に写真を撮るための知識を解説します!

絞り・シャッター速度・感度 写真に大切な3つの数値

露出の3要素

カメラを使っていて「絞り」や「シャッター速度」「感度」という言葉を聞いたこともあるのではないでしょうか。

絞り、シャッター速度、感度。
「露出」はこの3つの値を操作することで、自分で設定できます。

それぞれ、どんな役割があるのでしょうか?
順番に見ていきましょう。

絞りとは

絞りとはカメラのレンズの中にある、薄い板でできた部品のことです。

以下の画像に写っているのが「絞り」です。

絞り

絞りの役割は、レンズを一度に通る光の量を制御することです。

光が強い(明るい)ときは、絞りを絞り込んで(絞りの羽根をレンズに出して)光の量を加減します。
いっぽう、光が弱い(暗い)ときは絞りを開いて(絞りをレンズの周りに収納して)光を多く取り込みます。

絞りの概念

絞りの「F値」

上のように、「絞り」は開いたり閉じたりすることができます。

このときに、どれくらい絞りが開いているかを表すのが「F値」です。

F値とは、レンズの焦点距離(例:50mm)に対してどれくらいの直径のレンズで光を取り込んでいるかの割合を表す値。

・数字が小さいほど多くの光を取り込む(絞りが開いている)
・数字が大きいほど少ししか光を取り込まない(絞りを絞り込んでいる)

ことを表します。

またF値には、

・1つ値が大きくなると取り込む光が2倍になる
・1つ値が大きくなると取り込む光が半分になる

という特徴があります。

これを図で表すと、以下のようになります。

F値の解説

このように「F値」という数字を使うことで、どれくらいの光が取り込まれるかをわかりやすく表すことができるのです。

と、ここまでが露出に関係する絞りの役割。
続いて、絞りのもうひとつの役割を解説していきます。

絞りはピントが合う範囲をコントロールできる

もうひとつ、絞りにはとても大切な役割があります。
それはピントの合う範囲を調節すること。

まずは下の写真を見てみましょう。
絞りが開いている状態です。
ピントが中央のフィルムに合い、背景がボケています。

絞り開放で撮影
絞り開放(F2)で撮影

いっぽう、次の写真は絞りが少しの量しか開いていない状態、つまり絞り込んでいるときです。
こちらは逆に背景がボケにくく、広範囲ににピントが合います

絞り込んで撮影
絞り込んで(F22)撮影

絞りを調整してどこにピントを合わせるか。
このことは、写真の表現方法としてとても重要。

背景をボケさせたり、広い範囲にピントを合わせたりすることで多彩な表現ができますよ。
詳しくはこの章では触れませんが、こちらの記事で解説しています!

シャッター速度とは

次に、シャッター速度について解説します。

シャッターとは、カメラの中にある「決められた時間だけフィルムやイメージセンサーに光を取り込む」部品です。

シャッター

写真を撮るとき「カシャッ」と言う音がしますよね。
これがシャッターが動いている音です。

シャッター速度の表し方

1秒、1/2秒、1/4秒……1/125秒、1/250秒……1/2000秒……
シャッター速度はこのように、「開く時間」で表します。

1秒は、1秒間光を取り込む。
1/2000秒は、2000分の1秒間、光を取り込むということです。
当然前者は多くの光を、後者はわずかな光を取り込みます。

また、絞りと同じようにシャッター速度も

値が1つ減る:取り込む光の量が2倍になる
値が1つ増える:取り込む光の量が半分になる

ようになっています。

図で見ると、以下のようになります。

シャッター速度の解説

※上記の図にある「シャッター速度が速い」と「シャッター速度が遅い」の記述が逆になっています。大変申し訳ございません。

たとえば一般的なカメラで、普通の明るさの場合、1/125秒や1/250秒といったシャッター速度で撮影することが多いです。

最近のカメラでは、プロ用のものでは1/8000秒というとても短い時間のシャッター、つまり「高速のシャッター」を切ることができるものが多くなっています。

フィルムカメラでも、1930年代のものでさえ1/500秒〜1/1000秒くらいのシャッターが切れるものが多く存在しています。

太陽光やストボロといった強い光での撮影では、光を取り込む時間がそれくらい一瞬でないと、写真が真っ白く、露出オーバーになってしまいます
そのため、1/8000秒のような高速シャッターを搭載したカメラは、とても明るい場面でも写真が取りやすいので人気があります。

いっぽうで、シャッターは長い時間、光を取り込むこともできます
たとえば、1秒間シャッターを開けっぱなしにする
星を撮る場合などは、何十秒、何分といった単位でシャッターを開くことさえあるのです。

シャッター速度を変えて時間を表現

このようにシャッターは「時間」を変化させる機構です。

表現方法という観点からは、シャッター速度にはどんな役割があるのでしょうか?
絞りについては、ピントの合う範囲を決めるという大事な役割がありました。

シャッター速度の大事な役割、それは「物の動き」の表現です。

たとえば水が流れているところを撮る場合、速いシャッターを切ると、このように水しぶきまで止まって見えるようになります。

高速シャッター
シャッター速度が速い(1/500秒)

いっぽう、遅いシャッターを切ると水が糸のように流れて見えます。

遅いシャッター速度
シャッター速度が遅い(1/15秒)

シャッター速度による写真の写り方の変化については、こちらの記事でより詳しく解説しています。

ISO感度

ISO感度

もうひとつ、感度という、光の感じやすさを表す値があります。

感度はISOという単位で表されます。
デジタルカメラの設定にISO 400やISO 3200といった数字を見たことがあるのではないでしょうか。

(イソ、もしくはアイエスオーと読みます)

感度は、

ISOの数字が大きくなるほど光を感じやすくなります。
暗い場所でも、1/125秒のような速めのシャッターを切って、手ブレせずに撮影することができます。
ただし、画質が悪くなります。

ISOの数字が小さくなるほど光を感じる強さが弱くなります。
そのため、暗い場所ではより長い時間、フィルムやイメージセンサーに光を当てる必要があり、シャッター速度が遅く(時間が長く)なります。
すると手ブレしやすくなります。
手ブレしないためには、三脚を使う必要がでてきます。

そのかわり、画質が良くなります。

図で表すとこのようになります。

ISO感度の図

感度と画質

感度が低いと、暗いところでの撮影が難しいかわりに画質が良くなります。

以下の画像では低感度のため、拡大してもノイズが少ないのがわかります。

ISO100で撮影
ISO100で撮影

ISO100で撮影
ISO100で撮影(拡大)

いっぽう、感度が高いと、暗いところでも簡単に写せるかわりに、画質が悪く、ざらざらの写真になります。

こちらの写真は拡大する前から画質が悪く、ざらざらなのがわかります。

ISO25600で撮影
ISO25600で撮影

ISO25600で撮影
ISO25600で撮影(拡大)

撮影したいシーンに応じて、画質ができるだけ悪くならないISOで撮影するのがオススメです。

デジタルカメラとフィルムカメラの感度の違い

デジタルカメラでは、ISO 12800やISO 51200、さらにはISO 204800などの超高感度が使えるようになりました。
そのため、夜暗い時にも、感度をその場で上げて、簡単に写真を撮ることができます。

それに対しフィルムカメラでは、フィルムの感度はISO100とISO 400が一般的です。

フィルム

超高感度とされるフィルムでもISO 3200くらいまでが普通なのでデジタルカメラに比べると、感度の高さでは劣ります。
フィルムの場合、ISO3200くらいになると、画質もかなりザラザラになります。

また、フィルムカメラは使用するフィルムで感度が決まります
そのフィルムを撮影し終わるまで、途中で変えることはできません。
いっぽう、デジタルカメラは1枚写真を撮るごとに感度を変えることができます。

感度の扱いは、フィルムとデジタルで最も異なることといえるかもしれません。

絞り・シャッター速度・感度でなにができるの?

絞り・シャッター速度・感度。
この3つを操ることで、写真がきれいに写る光の量、つまり適正露出を設定します。

カメラには、写真がもっともよく写る露出の量があります。
それが適正露出。

プログラムAEや絞り優先AE、シャッター優先AEといった、カメラが自動で露出を設定する機能は、この適正露出を自動的に合わせるものなのです。

いっぽうマニュアル露出は、手動で適正露出を合わせるモードです。
マニュアル露出では、ISO感度はあらかじめ設定しておいて、絞りとシャッター速度のその場に応じて設定することになります。

絞り・シャッター速度・感度の関係性

絞り・シャッター速度・感度。
この3つの数値には、3すくみの相関性があります。

これが、初心者にとって、露出でいちばんわかりにくいところです。

つまり、3つの設定を組み合わせて適正露出を見つけるということ。
ひとつが変わると、他の2つ、または1つを変える必要があります。

ここでは実際の例を通して、3つの変数(絞り、シャッタースピード、感度)がどう変わっていくかを見ていきましょう。

絞りを開いて、レンズを通って入ってくる光が多すぎるとき

絞りを開いて、レンズを通って入ってくる光が多すぎるとき

→シャッターから取り込む光の量を減らす=シャッターを開ける時間を短くする(シャッター速度を上げる)必要がある
→または、感度を下げる必要がある

絞りを絞り込んで、レンズから入ってくる光の量が少なすぎるとき

絞りを絞り込んで、レンズから入ってくる光の量が少なすぎるとき

→シャッターを長時間開いて取り込む光の量を増やす必要がある
→または、感度を上げる必要がある

シャッターを速くして、動くものを撮りたいとき

シャッターを速くして、動くものを撮りたいとき

→光の量が減るので、絞りを開いて、取り込む光を増やす必要がある
→または、感度を上げないといけない

シャッターを長時間開いて動きを表現したいとき

シャッターを長時間開いて動きを表現したいとき

→たくさんの光が入ってくるので、絞りを閉じて(絞り込んで)光の量を減らす必要がある
→または、感度を下げる必要がある

このように、絞りを変えればシャッター速度と感度に影響し、シャッター速度を変えれば絞りと感度に影響するのです。

絞り・シャッター速度・感度の関係性:蛇口とバケツで例えると

とくに絞りとシャッターの関係性は水道とバケツに例えることができます

水道とバケツに例える

絞りは流量

以下の図では、「光の量」=「水の量」

絞りは蛇口

絞りは蛇口をどれくらい開くか。

水を太い蛇口から注ぐと、バケツが短い「時間」ですぐに満杯になってしまいます。
逆に注ぎ口が細いと、水がちょろちょろとしか出ないので、バケツが満杯になるまで「時間」がかかります。

シャッターは蛇口を開ける時間

シャッターは蛇口を開ける時間

シャッターは、バケツをいっぱいにするための「時間」です。

蛇口を長時間開けておけば水はたくさん溜まります。

蛇口をすぐに閉めると、水は少ししか溜まりません。

光の量は「絞り」と「シャッター」の両方でコントロールする

バケツを水でいっぱいにしたいとき、

・水をチョロチョロと出して、時間をかけていっぱいにする
・水を勢いよく出して、短い時間でいっぱいにする

どちらでも最終的な水の量は同じですよね。

絞りとシャッター速度の関係もこれと同じ。

つまり、「絞り」と「シャッター速度」を組み合わせて

・バケツをいっぱいに
・ただし、水があふれないように

光の量を調整すればよいのです。

実際に撮ってみるのが近道

実際のところは、絞り優先AEやシャッター優先AE、マニュアルに設定して、実際に撮影してみるのが理解への早道です。

絞りやシャッターの設定を変えても、カメラが壊れることはありません。
単に、写真が明るすぎたり暗すぎたりするだけです。

まずは、カメラの設定を変えて、どんな変化があるか試してみましょう。

当店はフィルムカメラとオールドレンズの専門店を謳っているので少し矛盾していることは承知ですが、デジタルカメラなら何枚でも撮り放題なので、気軽に試すことができますよ。
(もちろん、フィルムで試してもOKです!)

カメラの露出モード P・A・S・Mを使うことで絞り・シャッタースピードが簡単に操作できる

ここまでの説明を読んで、難しいと思ったかもしれません。

でも大丈夫!

カメラには絞りやシャッタースピードを自動で設定するためのモードがあり、使い分けることで、簡単に操作できますよ。

プログラムAE(Pモード)
絞り優先AE(Aモード)
シャッター優先AE(Sモード)
マニュアル(Mモード)

この4つのモードを使い分けることで、より多彩に、撮りたい写真が生み出せるようになりますよ。

それぞれのモードについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

写真の明るさを操ってみよう!

基本的に、カメラの操作というのはこの露出が全てといっても過言ではありません。
もうひとつ、重要な要素としてピントがありますが、露出と異なりピントは、直感的に理解することができるので怖くありません。

露出とピントを操るのがカメラの操作の肝。
最低限、絞り・シャッター速度・感度がわかれば、どんなカメラでも使えるようになりますよ。

他の記事でもより詳しく露出について説明しているので、ぜひ参考にカメラの設定を自分で操作してみませんか?

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著者紹介: サンライズカメラ

サンライズカメラは、いまでは数少なくなってしまった「フィルムカメラ専門店」の使命として、フィルムカメラに関する情報を公開し続けています。 「こんな記事が読みたい」というご要望がありましたら、お気軽にFacebook、Twitter、お問い合わせフォームなどからご連絡ください。カメラ愛好家のみなさん、これからフィルムを始めたいみなさんとお話できることを楽しみに待っています。

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