【撮影基礎講座4】カメラの感度とは?ISOによって変わる表現と画質
今回はカメラの感度について解説します。
「感度」とは、デジタルカメラのイメージセンサーや、フィルムカメラのフィルムが、どれくらい、光を感じやすいかを表す数値。
フィルムカメラではISO100やISO400くらいが主流でしたが、最新のデジタルカメラではISOの数字が万単位という超高感度での撮影も可能となっています。
感度によって変わるのが、写真の画質。
感度が低いと画質がよく、感度が高いと画質は悪くなるというトレードオフの関係性があります。
ただし感度が低いと手ブレの可能性も高まるので、手ブレと画質、どちらを優先するかが暗い場所での撮影では重要となります。
目次
【撮影基礎講座】全体のもくじはこちら
1:露出とは
2:シャッター速度とは
3:絞りと被写界深度
4:ISO感度とは
5:カメラの撮影モード P・A・S・M
6:マニュアル露出
7:露出計の種類
8:ピントとボケ
9:画角と焦点距離
10:ホワイトバランスと色温度
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カメラの感度とは
「感度」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
デジタルカメラで撮影するとき、ISO100やISO400、ISO1600といった数値を設定します。
フィルムカメラでも、フィルムに同じように数値が書かれています。
ISOで表される数字。
これが感度です。
感度とは
感度とは、フィルムやイメージセンサーが光を感じる能力の強さのことです。
つまり、写真を撮るときに、
「光の強さが同じ」で「シャッターと絞りの設定が同じ」だと
ISO感度が低い:光を少なく感じる→暗く写る
ISO感度が高い:光を多く感じる→明るく写る
ということになります。
図で表すと、このようになります。
感度が低いと手ブレしやすい
また、感度の設定は手ブレに大きく影響します。
たとえばカメラをプログラムAE(Pモード)に設定しているとき。
写真を撮るときに、暗い場所でうまく写真が写ってくれなかったことはありませんか?
感度が足りないカメラで暗い場所を撮影をすると、手ブレしてしまったり、ピンボケになりやすくなったり、という問題が生じるのです。
暗い場所で撮影するときには、デジタルカメラでは感度を上げる。
フィルムカメラでは、高感度フィルムを使うといった対策が必要となります。
感度と画質の関係
ISO感度は、撮影した写真の画質とも関係してきます。
たとえばこちらの2枚の写真。
ISO100で撮影
ISO25600で撮影
同じ場所を撮影していますが、小さいサイズでもわかるくらい、画質が異なりますよね。
これは、極端な例を示すために、デジタルカメラで、ISO100の低感度と、ISO25600の超高感度を撮り比べたもの。
拡大するとその差はさらに顕著です。
ISO100で撮影
ISO25600で撮影
このように、感度が高くなればなるほど、写真の画質は悪くなっていくのです。
「感度が低い」「感度が高い」とは?
「感度が低い」や「感度が高い」といいますが、いったい、どれくらいの感度なら高くて、どれくらいなら低いのでしょうか?
感度が低い
まず、「感度が低い」「低感度」とは、どれくらいの感度のことなのでしょうか?
結論からいえば現代のデジタルカメラではISO100やISO 400といった数値は比較的低めの感度といえるでしょう。
最新のデジタルカメラは、これくらいの感度なら、きめ細やかな、ノイズが少ない写り方をしてくれます。
(一般的にデジタルカメラでは、撮影時に設定できる最も低い感度のときに画質が最もよくなります)
ただし、感度が低いということはその分光を受け取る能力が弱くなるということ。
暗いところでの撮影には向いていません。
また、絞りを絞り込んでパンフォーカスにしたり、速いシャッター速度を使うのには向いていません。
なお機種によっては、ISO64やISO50といった、それ以下の感度を設定できるものもあります。
感度が高い
感度が高いとは、つまり光を感じる力が強いということ。
いまではデジタルカメラの感度は青天井。
どんどん高感度の画質が上がっているので、実用できる高感度も、ISO3200からISO6400へ、さらに高いISO感度へと、どんどん暗い場所に強くなっています。
高感度の例:ISO25600
ただし、いたずらに感度を上げればよいというわけではありません。
いかにデジタルカメラの高感度が改良されても、ISO100やISO400に比べれば画質は荒れ気味です。
感度を上げていくとノイズが増えて、画面がザラザラになっていきます。
感動上げれば上げるほど画質が悪くなっていきます。
そのため、撮影するシーンに合わせて、最低限必要な値まで感度を上げて撮影するのがオススメだといえます。
感度と絞り、シャッター速度の相関性
感度は絞りやシャッター速度にも影響します。
絞りを絞り込んだり開いたり。
シャッター速度を速くしたり遅くしたりといった表現ができるかどうかは、撮影する場所の光の強さと、ISO感度の設定に左右されるのです。
感度と絞り
絞りを開いて背景をボカしたいときには、感度を低めに設定するのがオススメです。
もし感度が高すぎると光を強く感じすぎてしまうので、絞りを開いた状態では写真が真っ白な露出オーバーの状態になってしまいます。
逆に絞りを絞り込んでパンフォーカスの写真が撮りたい場合には、感度を高めに設定したほうがよいでしょう。
絞り込むということは、その分取り込む光の量が減るということ。
そのため、取り込む光が減った分を、感度を上げて補うのです。
絞りについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
感度とシャッター速度
シャッター速度を変えた場合にも、適切な感度を使うのがおすすめです。
スポーツ、電車、飛行機、鳥。
そのような動いてるものを撮影したいときには高速のシャッター速度を使います。
シャッターが高速になると、その分カメラに取り込む光の量も減ってしまます。
そこで、絞りを絞り込んだときと同様に、感度を高めに設定するようにしましょう。
逆にシャッター速度を遅くして長時間露光したいときは、感度は下げられるだけ下げましょう。
感度が高いと露出オーバーになってしまいます。
シャッター速度について詳しくはこちらをご覧ください。
ISO感度とシャッター速度・絞りは連動している
ISO感度は、
ISO100→ISO200→ISO400→ISO800→ISO1600→ISO3200
というように、指数関数的に2倍づつ増えていきます。
(※中間の数値も存在します)
じつは、この2倍づつ増える数値は、
シャッターの1/60秒→1/125秒→1/250秒→1/500秒……という増え方や
絞りのF1.4→F2→F2.8→F4→F5.6→F8……という増え方と連動しています。
図で表すとこのようになります。
そのため、例を挙げると、
ISO感度をISO100からISO200へ上げたとき
→絞りをF4からF5.6に絞り込む
→または、シャッター速度を1/125秒から1/250秒に速くする
ISO感度をISO800からISO400へ下げたとき
→絞りをF8からF5.6にする
→または、シャッター速度を1/500秒から1/250秒にする
上記のような操作を行ったとき、カメラが記録する「光の量」は同じとなるのです。
このようにシャッター速度や絞りと同様に、感度も写真の表現に大きくかかわってきます。シャッター速度・絞り・感度の関係性についてはこちらの記事でも解説しています。
ぜひあわせてご覧ください。
フィルムカメラとデジタルカメラの感度
一口に感度といいますが、実はフィルムカメラとデジタルカメラでは、少し立ち位置が異なる概念でもあります。
感度を表す単位自体は、フィルムもデジタルも同じくISO。
ですが、感度を任意に設定できるかどうかという大きな違いがあるのです。
デジタルカメラは感度が変更できる
デジタルカメラでは、撮影するときにいつでも感度を任意に変更することができます。
ISO100で撮った直後に、ISO3200やISO6400に設定を変えるのも簡単です。
写真を1枚撮るたびに感度を変えることもできます。
フィルムカメラでは感度がフィルムに依存して決まる
いっぽうフィルムカメラではフィルムの感度に移動して、撮影した写真の感度が決定します。
フィルムを買うとき、フィルムのパッケージに「ISO 100」や「ISO 400」と書いてあるはず。
これがフィルムの感度です。
カメラの中にフィルムを入れたら、そのフィルムに書いてある感度で、フィルムを撮り終わるまで撮影を続けることになります。
厳密には「増感」や「減感」という方法でフィルムの感度自体を変えることは可能です。
ただしその場合でも、そのフィルム1本分は、すべて同じ感度での撮影となってしまいます。
このような特徴があるため、フィルムカメラで撮影するときには、感度は最初に設定して、固定となります。
撮影時に変更できるのは、シャター速度と絞りのみとなります。
フィルムカメラの感度の表示について
フィルムカメラの場合、カメラ本体の感度の数字が、ISO以外で表示されていることがあります。
それが「ASA」と「DIN」です。
ASAとDINによる感度表示
ASA感度
まずASA。
ASAはアメリカの規格です。
基本的に値はISOと完全に同一。
ISO100 = ASA100
ISO400 = ASA400
です。
というよりも、国際規格のISOがアメリカのASAをもとに定められたものなのです。
DIN感度
DINという表記もあります。
これはドイツの工業規格に由来するもの。
じつは今販売されているフィルムには、DINに由来する数値も表示されています。
ISO100 = DIN 21
ISO400 = DIN 24
に相当します。
さらにマイナーな規格として旧ソ連で使われた「GOST」というものもありますが、こちらはほとんど目にすることはないでしょう。
デジタルカメラのISO感度のトレンド
2010年代以降、デジタルカメラのISO感度がどんどん上がっています。
じつは、2000年代には、「デジタルカメラよりフィルムカメラのほうが高感度に強い」時代もありました。
しかし技術は急激に進歩。
2010年代前半、ペンタックスK-5などの機種が、ISO51200といった超高感度を実現。
当時はかなり驚きを持って迎えられましたが、今ではそれぐらいの感度は当たり前となりました。
今後もカメラの感度はどんどん上がっていく一方だといえるでしょう。
ただし、それでも基本的には、感度が低いほうが写真の画質がよくなることに変わりはありません。
そのため、いたずらに感度を上げることはせず、撮影するシーンにあった感度を選ぶことを忘れないようにしましょう。
画質にこだわりすぎて感度を下げすぎたために手ブレしてしまっては元も子もありません。
手ブレをしない範囲で、なるべく低い感度を選ぶのが大切です。
感度を操って美しい写真を撮ろう!
このように感度は写真の表現と大きく関わる要素です。
絞り、シャッタースピード、そして感度。この3つを設定することで、カメラの表現を自在に行うことができますよ。
絞り、シャッタースピード、感度の関係性についてはこちらの記事も合わせてご覧ください。
1:露出とは
2:シャッター速度とは
3:絞りと被写界深度
4:ISO感度とは
5:カメラの撮影モード P・A・S・M
6:マニュアル露出
7:露出計の種類
8:ピントとボケ
9:画角と焦点距離
10:ホワイトバランスと色温度
2023年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
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