[オールドレンズ探訪記] Nikon(ニコン) Ai Nikkor 35mm F1.4Sでじっくり撮ろう(作例・撮影Tipsあり)
こんにちは、雨樹一期です。オールドレンズの撮り比べ、そしてオールドレンズ探訪記にて様々なレンズの作例をご紹介してきました。
その中でざっと40種類くらいは試してきましたが、まだまだほんの一握り。引き続きご紹介していきます。
ここ数回は旧ソ連製のツァイスコピーのレンズをご紹介してきましたが、今回はMade in Japan。Nikon(ニコン)のオールドレンズNikon(ニコン) Ai Nikkor 35mm F1.4Sをご紹介します。
【オールドレンズ探訪記 前回の記事はこちら】
【オールドレンズ探訪記】超優秀!Nikon Ai NIKKOR 28mm F2.8Sはバランスの良いレンズだった(作例あり)
目次
2023年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ、迷ったらこの一台!
価格と性能のバランスが取れた名機です!
どこでも持ち歩ける相棒です。
Nikon(ニコン) Ai Nikkor 35mm F1.4Sについて
まずはAi Nikkor 35mm F1.4Sについて簡単に紹介です。
レンズ名についているAiやSの意味も解説しますね。
Ai Nikkor 35mm F1.4S
Ai Nikkor 35mm F1.4Sは、Nikon Fマウントの準広角レンズ。
Nikonというだけで安心感があります。
僕がレンズに求めるあらゆる基準をクリアーしてくれるだろうなと。
その分、癖が少なくて、オールドレンズとして楽しむのなら物足りなさもあるかもしれませんが、高性能なことが理由なのだからOKです。
レンズは600gなので、ややズッシリときます。
今回もミラーレス一眼カメラで作例を撮影しましたが、Nikonなので、Fマウントのアダプターを使用します。
ミラーレス一眼カメラ用のマウントアダプターにはさまざまな製品がありますが、マニュアルフォーカスのニッコールレンズなら、下で解説するどのタイプでも同じアダプターで大丈夫です。
非Aiレンズ・Aiレンズ・Ai-Sレンズの違い
このレンズ、「Ai Nikkor 35mm F1.4S」という名前ですが、AiとかSといったアルファベットがついていて、最初はどんな意味なのかわかりにくいですよね。
これは、Nikonの一眼レフ用のレンズのなかでもどういう機能のついたレンズなのかを表しています。
非Aiレンズ・Aiレンズについて、ざっくりと説明すると――
非Aiレンズ
1970年代後半より以前に発売された、古いレンズです。同じNikonのフィルム一眼レフやデジタル一眼レフでも、取り付けが出来ない機種があります。
次のAiレンズで採用している、Ai方式に対応してないレンズということになります。
見た目では、絞りリングに付いている銀色の「カニ爪」に穴が空いていないのが判別点です。
Aiレンズ
非Aiレンズだと、絞りと露出計を連動させるのが面倒ということで、方法が改善されたレンズです。
Ai方式に対応したレンズ。
Ai-Sレンズ
カメラのボディから絞りを制御する時の動作がスムーズになるように、Aiレンズをさらに小改良したものです。
今回のAi Nikkor 35mm F1.4Sのように、レンズ名の最後に「S」とついています。
ちょっとややこしくて、きちんと説明すると正確ではないかもしれませんが、ミラーレス一眼カメラ+マウントアダプターで撮影するのならどれを使っても問題ありません。
ただ、Nikonのフィルムカメラやデジタルカメラで使いたいのなら、非Aiに対応しているか調べる必要はあります。
ちなみに、非AiをNikonが公式にAiへ改造したレンズもあります。
Nikon Fマウントレンズの種類について詳しくはこちら
非Aiレンズ、Aiレンズ、Ai-sレンズの違いについては、サンライズカメラ公式サイトのこのblog記事で解説しています。
より詳しくはこちらをご覧ください!
Nikon(ニコン) Ai Nikkor 35mm F1.4S+ミラーレス一眼カメラの作例紹介
それでは、Ai Nikkor 35mm F1.4S+ミラーレス一眼カメラで撮影した作例を見ていきます!
今回の作例もミラーレス一眼カメラのボディは、中古価格が手頃なことがメリットのSONY α7を使用しました。
絞り開放でもピント面の描写は良好、しかも寄れる
まずは開放のF1.4で撮影。さすがNikonというか、やっぱりいいですね。絞り開放でもピントが極端にあまくなることがありません。
ただ、ちょっとボケはざわざわしているかもしれませんね。
しかも最短撮影距離が30cmとかなり寄れます。これは単純なレンズの評価的には大きいプラスポイントです。
接写フィルターなどを使えば他のレンズでも寄って撮れますが、いちいち鞄から取り出して、クルクル回してレンズに付けて、撮影したらまた外して、、、なんて面倒くさいですからね。
ピントが合っている部分、猫の毛並みの再現も素晴らしいですね。
立体感ある描写
解像度や色の乗りも良くて、コントラストはやや強め。これはレタッチなしのjpg撮って出しですが、写真に立体感がありますね。
もうね、バランスが素晴らしい。
焦点距離が35mmで広角気味。そのために、若干歪み(丸み)が出ますね。写真の四隅に流れるような感じ。
なかなかの逆光耐性
逆光の中で撮影しています。レンズ内での反射を抑えるスーパー・インテグレイテッド・コーティングなので、ゴーストも控えめですね。
出そうとしてもほとんど出ないです。
絞り値を変えた作例で、さらに逆光耐性を見ていきましょう。
絞りはF10。太陽が少しだけ隠れていますが、もろ逆光です。ゴーストは写真の中心から左下にわずかだけ。
太陽がほぼ全開。これでようやくゴーストが目立つレベルに。
凄い逆光耐性です。
35mmならではのノーファインダー撮影にも使える
僕の中では冬恒例のカモメ撮影。動き回るので、ファインダー越しのピント合わせは困難。てことで、ピントを1.5mくらいにして、絞りをF8、ノーファインダーで撮影しています。
これだけ囲まれていたら誰かにはピント合うだろうと(笑)。
もともとフィルムカメラ用のレンズですが、ミラーレス一眼カメラならピンボケを恐れずどんどん撮っていけます。
周辺光量落ちですが、35mmという焦点距離にしては控えめです。
ピントを60〜70cm、指先のかっぱえびせんに合わせています。おちょぼ口のカモメがかわいいですねー。
ちなみに、かっぱえびせんはカモメの大好物(笑)。一瞬で奪われます。右上の子も狙っていますね。
この作例の絞り値はF8ですが、ピントのカリッと感が凄いです。現代のレンズで撮ったかのよう。
焦点距離が35mmと、標準よりも少し広角になるだけでも、こういった写真は撮りやすくなりますね。
謎のおっさんボード。開放のF1.4はピント合わせもややシビア、かつボケ過ぎることも。
背景まで写したいのなら、F4や5.6に合わせましょう。
ミラーレス一眼カメラのピント拡大機能を使うのは必須です。
周辺部の描写を絞り込んだ作例で比較
どのレンズでも言えますが、ピントは中心が一番カリッとしますが、周辺になるにつれ甘くなります。
以下、絞りF8で撮影した写真の中心と右端の部分を拡大してみました。
同じサイズで切り取りましたが、そこまで気にならないですね。
続いて、開放F1.4で撮影した作例写真を拡大。
かなり甘くなっていますね。遠景の撮影だと顕著に出ちゃいます。
高性能でバランスの良いレンズなので、これが唯一のオールドレンズらしさかもしれません。
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撮影Tips「前ボケで遠近感を出そう」
今回作例をお届けしているAi Nikkor 35mm F1.4Sは35mmで画角が少し広め。
ですが、開放の絞り値はF1.4。しっかりボケてくれるので、前ボケを活かして、遠近感を出してみましょう。
前ボケの作例
ジャングルジムの赤色部分を手前に入れるか入れないかで印象が変わります。
青色の部分も同様ですね。写真に奥行きがでます。
必ずしも前ボケが必要ということではありませんが、意識することが大切ですね。撮影の幅が広がります。
Nikon(ニコン) Ai Nikkor 35mm F1.4S+ミラーレス一眼カメラで撮影してみた感想
Ai Nikkor 35mm F1.4Sはバランスがいいオールドレンズですね。今も普通に通用する高性能。
良くも悪くも、オールドレンズ「らしい」癖は控えめです。
しっかり撮りたい派向けとなります。
35mm派の方に間違いなくおすすめ
焦点距離が35mmなので、やや広角。肉眼の視野に近いとされるのは50mmですが、実際に撮るとなると、意外と狭く感じる方も多いです。
フィルムカメラに馴染みがなければ、50mmなんて使い慣れてませんからね。
だから35mmが好きな方も割と多くて、一番違和感がない、と感じる画角になるかもしれません。
焦点距離が短くなるとボケ味は少し落ちますが、F1.4から使えるので全く問題なく、50mmより広角になるので、写真の中にしっかりと背景を写し込むことも出来ます。
僕は日常撮りが好きなのですが、一番相性が良いと感じる焦点距離が35mm。
なので、単純に撮影が楽しかったです。
寄れるレンズは素晴らしい!
もう一点、「NIKKOR 35mm F1.4」の素晴らしい点は、30cmまで寄れること。
これがほんと利点です。前回ご紹介した「JUPITER-8 5cm F2」なんて、レンジファインダーカメラ用のレンズなので1mまでしか寄れませんでしたから。
鮮やかさとか、コントラストとか、虹色のゴーストとか、レンズによってそれぞれで、どちらがいいとは一概に言えないのですが、寄れるに越したことはないです。
これで50〜60cmくらい。オールドレンズって、撮影最短距離が80cm〜1mくらいのものが多いです。
寄れるというだけで撮影の幅ってかなり広がりますからね。撮影最短距離が1mのレンズだと、30〜1m内の被写体にはピントが合わせられないですからね。当たり前のこと書いていますが(笑)。
おまけに開放はF1.4です。「Ai Nikkor 35mm F1.4S」を持っていたら、たいていのものは撮れます。
オールドレンズらしい癖は少なく、マニュアルフォーカスのニッコールのなかでも価格は少し高めですが、持っておきたいレンズですね。
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Ai Nikkor 35mm F1.4S 簡単な解説
ここからは中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフが、今回作例を撮影したAi Nikkor 35mm F1.4Sについて簡単に解説します。
Ai Nikkor 35mm F1.4S
マウント | Nikon Fマウント |
構成 | 7群9枚 |
メーカー | 日本光学(Nikon) |
発売年 | 1982年 |
新品時価格 | 121,000円(税込、終売時価格) |
※参考資料:
ニッコール千夜一夜物語 – 第二十七夜 | Enjoyニコン | ニコンイメージング
AI Nikkor 35mm f/1.4S – 概要 | NIKKORレンズ | ニコンイメージング
Ai Nikkor 35mm F1.4SはNikon Fマウントの明るい準広角レンズ。
記事の最初でも触れたように、Ai-Sレンズです。
上記の参考資料に挙げた「ニッコール千夜一夜物語」にて詳細に解説されていますが、構成はレトロフォーカスタイプ。
35mm F1.4というスペックの発売は1971年で、その後変更が加えられたとのことですが、今回の作例を見てもわかるように基本的な性能自体は優れているといえます。
ただ、作例から伝わったかもしれませんが広角かつF1.4ということで、背景のボケにざわつきが感じられるところがあるかもしれません。
↑作例を再掲:背景の木に注目。わかりやすく二線ボケになっているところもあります。
↑作例を再掲:玉ボケの輪郭がはっきりと見えます。
スタッフの私が雨樹さんの作例を見て驚いたのは逆光耐性の強さ。
今回作例に使用したのは比較的後期のものですが、スーパー・インテグレイテッド・コーティングはさすがの性能ですね。
雨樹さんが作例を撮影した感想では優等生である面が強調されていましたが、レンズごとのボケ味の違いを感じるのなら、ぜひ一度使ってみたいレンズです。
Ai Nikkor 35mm F1.4Sを中古で買うなら
Ai Nikkor 35mm F1.4Sは1980年代の発売で、ニッコールのオールドレンズとしては比較的新しい部類です。
2000年代に入っても販売されていたため、末期のものはコーティングがスーパー・インテグレイテッド・コーティングとなり、描写がさらに良くなっています。
高級レンズのため、もっと暗い広角に比べれば中古価格は高いですが、ニッコールということもあり中古で購入しづらくはないといえます。
ただし近年、ニッコールオールドレンズが再評価され、中古人気が高まっているのも事実。
明るい高級レンズはとくに中古価格が上昇基調にあるので、状態のよい中古を手に入れたら早めに入手するのがよいかもしれないですね。
Ai Nikkor 35mm F1.4Sをお探しの際は、ぜひ当店、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ 公式サイトもご覧ください。
今回使用したミラーレス一眼カメラ
この記事でも、ミラーレス一眼カメラのボディはSONY 初代α7を使用しました。
SONYのミラーレスボディでオールドレンズを使うとすると――
中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。ですが、ニッコールのオールドレンズを使うなら、Nikon Zシリーズのほうがよりよい可能性もありますね。
Ai Nikkor 35mm F1.4S まとめ
今回はAi Nikkor 35mm F1.4Sで撮影した作例をお届けしました。
Ai Nikkor 35mm F1.4S、ニッコールレンズであることもあり安定感もありましたが、そのなかにボケ味などの薄氷を踏むような面もある、ほかにない独特なレンズであるとも感じられます。
ニコンのレンズというとどことなく優等生なイメージを抱きがちですが、実際にはとても個性豊か。
ぜひあなたもニッコールのオールドレンズをもっともっと楽しんでみませんか?
次回の記事はこちら
オールドレンズ探訪記、次回はいくた りかさんの執筆で、ミノルタのレンジファインダーカメラ、Minolta 35用標準レンズのSUPER ROKKOR 5cm F2で撮影した作例をお届けします。
1950年代、ミノルタならではの感覚で作られたオールドレンズ+ミラーレス一眼カメラでどんな写真が撮れるのか、ぜひご覧ください。
ぐるぐるボケで新しい表現を!Minolta(ミノルタ)SUPER ROKKOR 5cm F2(作例あり)【オールドレンズ探訪記】
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