Canon FDマウントのマウントアダプター 誰でもわかる使い方まとめ!
世界を代表するカメラメーカー、Canon。
今回は、そんなCanonがかつて作っていた「Canon FDマウント」のオールドレンズをマウントアダプターで使う方法について解説します。
Canon FDマウントは、フィルムカメラの時代、マニュアルフォーカス用のレンズとして展開されていたレンズで用いられていたもの。
1980年代後半、CanonはFDマウントから、現在も用いられているEFマウントへ移行。
そのため少し前まではデジタルカメラで使いにくく、高性能にもかかわらず人気が今ひとつでした。
ところが。
ミラーレス一眼カメラの登場により「オールドレンズ」として人気が急上昇!
古い製品でもとても高性能だったCanon FDマウントレンズたちが一挙に見直されるようになったのです。
Canon FDマウントレンズの特徴は、現代的な写りと発色のよさ。
オールドレンズながら、現代のレンズの源流となったコンセプトを持っているため、写りは非常に良好です。
お手頃価格で高性能。
Canon FDマウントのレンズを、マウントアダプターを使ってミラーレス一眼で使ってみませんか?
目次
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Canon FDレンズをマウントアダプターで使う
まず最初に、Canon FDレンズをマウントアダプターで使うとどんな写真が撮れるのか。
作例を見てみましょう。
1.Canon New FD 50mm F1.4
撮影:雨樹一期
作例記事はこちら
[オールドレンズ撮り比べ14] Canon New F-1 / New FD 50mm F1.4の実力をまだあなたは知らない(作例あり)
2.Canon New FD 85mm F1.2 L
撮影:雨樹一期
作例記事はこちら
[オールドレンズ撮り比べ15] Canon New FD 85mm F1.2 Lはポートレートにかなり相性の良いボケ感を持った有能レンズ(作例あり)
作例で使用したボディ・マウントアダプター
作例ではこちらのミラーレス一眼カメラとマウントアダプターを使用しています。
Canon FDマウントのマウントアダプター
Canonのマニュアルフォーカス一眼レフ時代のレンズマウント。
それがCanon FDマウント。
FDマウントとはどんなマウント?
そして、Canon FDマウントのレンズにはいったいどんな特徴があるのでしょうか?
Canon FDマウント
Canon FDマウントとは、1971年発売のCanon F-1(旧F-1)から、1990年発売のCanon T60まで、マニュアルフォーカスのフィルム一眼レフカメラで採用されたレンズマウントです。
1970年代、1980年代といえば、フィルム一眼レフが一気に普及し、そして各メーカーが激しく販売競争を繰り広げた時代。
スポーツカメラマンや広告カメラマンが最先端の職業として注目を集めた時代を彩ったCanonのフィルムカメラたちは、このCanon FDマウントを採用していました。
代表的な機種としては、旧F-1のほか
Canon A-1
Canon T90
などが有名。
どれも当時最先端の技術を大胆に採用した歴史に残るフィルムカメラです。
そんなCanon FDマウントの特徴。
それが「スピゴットマウント」だということです。
スピゴットマウント
スピゴットマウントとは、
「レンズとカメラを押し付けたら、レンズ根本の締め付けリングを回して固定する」
という方式のレンズマウントのこと。
こちらの写真を見てみましょう。
画像の銀色の部分。
これが締め付けリングです。
このリングは回転するようになっており、リングを回すとレンズとカメラボディを密着させるように締め上げるようになっています。
「スピゴット」(spigot)とは、水道管などの接続に使われる「継ぎ手」のこと。
たとえば、水道の蛇口は根元にゴムパッキンを入れて、ネジを締めて水漏れしないようにしています。
同じように、レンズの「スピゴットマウント」でもレンズとボディを外側から締め上げていることから、このような名前がついたのです。
1987年、Canon EFマウントに移行
ところが、Canon FDマウントは1987年、Canon EFマウント(EOSマウント)へ移行してしまいます。
EFマウント(カメラはCanon EOS 1V)
これは、フィルムカメラのオートフォーカス化に伴うもの。
現在も続くCanon EOSシリーズへの移行に伴い、完全電子化されたEFマウントを採用し、FDマウントの展開は急激に縮小されてしまったのです。
Canon FDマウント最後の新製品、Canon T-60の発売は、それからたった3年後、1990年のこと。
この移行の理由は、けっしてCanon FDマウントレンズの性能が悪かったからではありません。
問題は、スピゴットマウントの使い勝手にありました。
よくいわれるのが、「スピゴットマウントを使うには手が3本要る」ということ。
レンズとカメラボディを固定するときに、
・レンズ
・カメラボディ
・締め付けリング
の3箇所を同時に持たないといけないため、大型のカメラやレンズを使っているときにはとくに不便だったのです。
そのため後継のCanon EFマウントでは、他社同様のバヨネットマウント(爪を噛み合わせて回すマウント)を採用することになりました。
ミラーレス一眼とマウントアダプターで脚光
Canon FDマウントはその後、過去のマウントとして少々不人気だったきらいがありました。
Canon FDマウントはフランジバックが短く、デジタル一眼レフカメラでマウントアダプターを使って撮影するのが難しかったこともその理由のひとつ。
ですが、さらにフランジバックが短いミラーレス一眼の登場でにわかに風向きが変わりました。
ミラーレス一眼なら、マウントアダプターを使ってCanon FDマウントのレンズが問題なく使用可能。
もともとオールドレンズのなかではモダンな設計で高性能、かつ発色がよいCanon FDマウントのレンズたち。
ミラーレス一眼とマウントアダプターを使うことで、そのポテンシャルを否応なしに引き出すことができるようになったのです。
まだ比較的中古が廉価なものが多いCanon FDマウントレンズ。
手に入れるなら今がチャンスかもしれませんよ。
Canon FDマウント用レンズの種類
Canon FDマウントのマウントアダプターで使えるレンズには、以下のような種類があります。
1.Canon FDレンズ
ここまで紹介してきた、1971年に登場したレンズの種類です。
レンズ根本のリングで固定するスピゴットマウントです。
2.Canon New FDレンズ
じつは1970年代後半、Canon FDマウントのレンズは改良が施されています。
それがNew FDレンズ。
これは、「バヨネットマウントのように使えるFDレンズ」というもの。
レンズ根本の締め付けリングが本体と一体化されており、バヨネットマウント(ミラーレス一眼などで現在使われている方式)同様に、押し付けてそのまま回転させるだけで取り付けができるようになりました。
ですがマウント形状は同一で、FDレンズとNew FDレンズは完全に互換性があります。
3.それ以前のレンズ
Canon FDマウント以前にも、同じレンズ形状で
・Canon FLレンズ
・Canon Rレンズ(Super-Canomaticレンズ)
というものがありました。
こちらについては後述します。
Canon FDマウント用マウントアダプターの使い方
それでは、Canon FDマウントのレンズをマウントアダプターでミラーレス一眼に取り付けるにはどうしたらよいのでしょうか?
画像を織り交ぜて解説していきたいと思います。
今回は
レンズはCanon FD 50mm F1.4 S.S.C
ボディはSONY α7(初代)
マウントアダプターはK&F Concept製品
を使用しています。
1.用意するもの
カメラ本体
Canon FDマウントのオールドレンズ
そして
マウントアダプター
を用意します。
2.レンズをマウントアダプターに取り付ける
レンズをマウントアダプターに取り付けます。
スピゴットマウントの取り付け方は、現在使われているバヨネットマウントとは少し違います。
レンズとマウントアダプターを押し付ける
レンズの赤い指標と、マウントアダプターの指標の場所を合わせます。
そうしたらレンズとマウントアダプターを押し付けます。
締め付けリングを回す
押し付けたら、銀色の締付けリングをLOCKと書いてある方向に回します。
ギュッと締め付けるように回して、それ以上回らないくらいきつくなればOKです。
レンズとマウントアダプターの合体完了
これでオールドレンズとマウントアダプターが接合されました。
3.カメラ本体に取り付ける
マウントアダプターを取り付けたオールドレンズを、ミラーレス一眼のボディ本体に取り付けます。
こちらはバヨネットマウントなので、取り付け方はミラーレス一眼の純正レンズとまったく同じ。
マウントアダプターの指標と、ボディ本体の指標を合わせます。
そのまま噛み合わせたら、時計回りに「カチッ」というまで回します。
これで取り付け完了。
Canon FDマウントのオールドレンズで、ミラーレス一眼で撮影できるようになりました。
ただし、カメラ本体の設定状況によっては、あらかじめ「レンズなしレリーズ」などの設定を行う必要があります。
方法について詳しくはこちらの関連記事をご覧ください。
New FDレンズの取り付け方法
New FDレンズの取り付け方は、上で解説したFDレンズと異なるので簡単に解説します。
マウントアダプターに取り付ける方法は簡単。
マウントアダプターに押し付けたら、そのまま時計回りに回すだけです。
回すと「カチッ」と音がして固定されます。
基本的に、他社の「バヨネットマウント」(噛み合わせて回すマウント)と同じと考えるといいでしょう。
Canon FDレンズもNew FDレンズも取り付けには完全に互換性があるので、マウントアダプターは同じものでOKです。
New FDレンズの取り付け方 関連記事
New FDレンズをマウントアダプターへ取り付ける方法については、こちらの記事でも解説しています。
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Canon FDマウント用マウントアダプターのポイント
Canon FDマウント用のマウントアダプターには、購入や使用の際にいくつかのポイントがあります。
Tipsを紹介するのでぜひ参考にしてみてくださいね。
おすすめのメーカー
Canon FDマウントのマウントアダプターは各社から発売されていますが、極端に安すぎる質の悪い製品以外なら問題ないでしょう。
だいたい2,000円くらい以上のものならOK。
おすすめは、この記事でも使用したK&F Concept製品です。
精度もよくガタもありません。
Canon FDレンズの高性能を堪能できますよ。
K&F Conceptさんのマウントアダプター 購入はこちら
Canon FLレンズは干渉して取り付けられないものがある
FL 50mm F1.4
FDレンズ以前に販売されていたレンズに、Canon FLレンズというものがあります。
Canon FLレンズのレンズマウント形状はFDマウントと完全に同一。
そのため本来ならマウントアダプターも共用できるはずなのですが……。
Canon FLマウントのレンズには、FDレンズに比べてレンズ後部の部品が大きく張り出しているものがあります。
FLレンズの後部
そのためマウントアダプターの内部と干渉してしまい、装着できない場合があるのです。
海外製の値段が高めのアダプターには対応したものもありますが、比較的低価格のアダプターは鑑賞するものが多いようです。
愛好家の方のなかには、部品を取り外すなどして自己責任で使っている方もいますが、あくまでも各自工夫が必要になる行為。
Canon FLレンズは取り付けられないことがあるため、ダメ元で買うことになる可能性があることを覚えておきましょう。
例としては、非常によく見かけるCanon FL 50mm F1.8の前期型は鑑賞することが知られています。
旧Rマウントレンズ(Super-Canomaticレンズ)も干渉
FLレンズの更に前には、同一のマウント形状でRマウントレンズ(Super-Canomaticレンズ)というものもありました。
(ミラーレス一眼のCanon EOS Rレンズとは別物)
こちらのレンズも、レンズ後部に複雑な自動絞り機構があることから、基本的にマウントアダプター内部と干渉するものと思っておきましょう。
Canon FDマウントのおすすめレンズ
こちらの記事でCanon FDマウントのおすすめレンズを紹介しています。
Canon FDマウントは1970年代にしてカラー撮影を意識していた、当時としては先進的設計のレンズ。
美しい発色と高性能が楽しめますよ!
Canon FDマウントレンズをマウントアダプターで味わいませんか?
Canon FDマウントのレンズは、ミラーレス一眼とマウントアダプターで一気に見直されたレンズのひとつといえるでしょう。
高性能なことは知られていましたが、Nikonなどのオールドレンズに比べてデジタル一眼レフでは使いにくかったFDレンズ。
そのことで逆に、良い状態のレンズが廉価に中古市場にゴロゴロする状況になっています。
FDマウントレンズ購入のチャンスは今かもしれません。
ぜひあなたもCanonのオールドレンズを体験してみませんか?
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