OLYMPUS(オリンパス)OM-2/現代の露出計の基礎を築いたダイレクト測光機
今回は、オリンパス(OLYMPUS)のフィルム一眼レフカメラから、OM-2について解説します。
オリンパスOM-2は、1975年発売の、絞り優先AEを内蔵した機種。
1970年代中盤という時期を考えると当時としてはアピール度の高いAE機ではあるものの、現代の視点から見ると、絞り優先+マニュアルのありふれた一眼レフに見えるかもしれません。
しかし、派手なスペック以外の点で、OM-2は現代のデジタル一眼レフにまで通じる重要な技術を実用化しているのです。
それが「TTLダイレクト測光」。
カメラのフィルムのある部分の光を計測することで、より正確な露出を得る技術です。
この技術はストロボの自動制御の実用化にも大きく寄与しており、現代のカメラ製品においては当たり前に採用されるものとなっています。
TTLダイレクト測光のフィルム一眼レフカメラ、オリンパスOM-2。
電子制御のため中古品は比較的安価なものも散見されます。
いったいどんな中古カメラなのか、特徴や歴史上の重要性について見ていきましょう。
(本記事の画像は主にマイナーチェンジ版OM-2Nのものを用いています)
目次
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価格と性能のバランスが取れた名機です!
どこでも持ち歩ける相棒です。
オリンパスOM-2
それでは早速、オリンパス(OLYMPUS)OM-2の特徴、スペックについて見ていきましょう。
オリンパスOM-2の性能・スペック
形式 | 電子式一眼レフカメラ |
シャッター | B、1秒~1/1000秒(マニュアル時) 60秒〜1/1000秒 ストロボ同調速度1/60秒 電子式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL中央重点ダイレクト測光 SPD受光素子(AE時) TTL中央重点測光 CdS受光素子(マニュアル時) |
露出 | 絞り優先AE マニュアル |
ファインダー | 視野率97% 0.92倍 |
レンズマウント | オリンパスOMマウント |
電池 | SR44酸化銀電池(Amazon)x2 |
発売年 | 1975年 |
オリンパスのフィルム一眼レフ、OMシリーズの二号機。
それがOM-2です。
小型軽量で名高いオリンパスOMシリーズの中古カメラですが、OM-2には、サイズや使い心地といった基本的な特徴を踏まえたまま、さらなる新機能が盛り込まれています。
機械式シャッターかつ、露出モードはマニュアル(Mモード)のみだったオリンパスOM-1に対して、OM-2は電子式シャッターの絞り優先AE機に。
そして、最大の特徴である、当時としては先進的な機構、TTLダイレクト測光までもが組み込まれているのです。
オリンパス初の絞り優先AE機
現代のデジタルカメラでは基本機能となっているAE(自動露出)。
オリンパスOM-2が登場した1970年代は、そんな機能が急速に普及する時代でもありました。
当時のAEは大きく絞り優先AEとシャッター優先AEに大別できたのですが、1970年代中盤には技術的制約から、組み込まれるのはそのうち片方となっていました。
オリンパスOM-2が採用したのは絞り優先AE。
レンズの絞りリングを回して絞りの値を決めると、シャッター速度が自動的に設定されて適正露出となる、という仕組みです。
レンズの被写界深度を操ることでピントが合うためにスナップ写真に向いており、小型軽量で持ち歩きやすいOMシリーズに最適です。
オリンパスOM-2は、オリンパスのフィルム一眼レフカメラとして初めてAEを搭載した機種。
この機能は廉価機種であるOM10へと受け継がれていくこととなります。
電子シャッターを採用
OMシリーズの初代機種となるオリンパスOM-1が非常にオーソドックスなオール機械式の機種だったのに対して、オリンパスOM-2は、AE機ということもあり電子シャッターが組み込まれています。
シャッター最高速こそOM-1と同じく1/1000秒ですが、低速側はAE時、最長60秒に。
(ただしマニュアル時は1秒までです)
電子式カメラということもあり、現在、中古カメラ店ではOM-2の値段はピンキリ。
高度に電子化された機種の常として、電子部品の経年劣化により修理が難しくなることもあるため、状態によってはOM-1よりも安いことが多々あります。
しかし、機械式のOM-1であっても経年劣化でシャッターの動作に不具合を抱えているものは多いため、しっかりと整備されたものを選ぶならば、OM-2は、OM-1に負けず劣らずおすすめできる機種になるといえるかもしれません。
OM-1とほぼ同一の操作系
他のオリンパスOMシリーズの中古カメラにもいえることですが、操作体系はOM-1と同一です。
シャッターダイヤルはレンズマウント周りに。
絞りリングはレンズ先端に。
感度設定はボディ上部に。
同じオリンパスOMシリーズのカメラなら、どんな中古カメラでも操作方法は同じ。
操作を共通化するというユーザー本位の設計思想のあらわれです。
レンズは当然、OM用のズイコーレンズ。
もちろんアクセサリーも共用となっています。
自動巻き上げが可能なワインダーをはじめ、OM-1のために用意されたものがそのまま使えます。
機械式のOM-1と電子式のOM-2。
見た目はとても似ていて、操作部品もほぼ同じなので、絞り優先AEがあることを重視するか、機械式であることを重視するかで決めるとよいでしょう。
OM-1について知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
では次の節から、最大の特徴であるTTLダイレクト測光とはどんなものか、解説していきます。
先進的な露出計「TTLダイレクト測光」
オリンパスOM-2の機構面での最大の特徴。
それが「TTLダイレクト測光」です。
これは、露出を計測する際に、シャッター幕面の光量をダイレクトに測定するという方式のこと。
光が実際に感光するのと同じ場所を計測するため精度良く、かつシャッターが開いている間もリアルタイムで露出を計測できるというメリットがあります。
シャッター幕のパターンを印刷
TTLダイレクト測光でシャッター幕面を計測するため、幕には黒と白のドットパターンが印刷されています。
これは、シャッター幕面の反射率(光をどれくらい反射するかという量)を、写真用フィルムの反射率と同一にするためのもの。
反射率を同じにするだけであれば、単純にシャッター幕をグレー色に着色すればよいのでは、とも考えられますが、そうすると、製造時の素材や塗料の微妙な色調の差により、露出計の数値に誤差がでてしまいます。
そこで、「反射率の低い黒」と「反射率の高い白」でドット状に着色することで、全体を平均するとフィルムと同色のグレーと同じ反射率とすることが考え出されたのです。
なお同様の措置は、オリンパスに追従した他社のダイレクト測光機種でも採用されています(PENTAX LXなど)。
TTLダイレクト測光でできること
では、TTLダイレクト測光を使うとどんなことができるのでしょうか?
TTLダイレクト測光がもっとも大きな威力を発揮する場面。
それがストロボ撮影です。
いまではごく一般的になっている、ストロボでのオート撮影。
しかし1970年代当時は未だ、フィルム一眼レフカメラに外付けのストロボを取り付けた場合、自動での撮影は発展途上にありました。
被写体との距離とストロボの光量(ガイドナンバー)によって、手動で絞りの値を設定する。
まだまだ初心者には難しい撮影方法が必要とされたのです。
そのような中、オリンパスOM-2は、TTLダイレクト測光を用いてストロボ撮影の自動化を実現。
相当にエポックメイキングな、一眼レフでのストロボ使用を身近にする大発明でした。
原理は、シャッターが開いている(露光している)間もリアルタイムに露出計が動作する特徴を活かして、ストロボの発光量を調節するというもの。
同様の機能はその後徐々に一般化し、いまではデジタル一眼レフカメラにごく当たり前に搭載されるものとなっています。
OM-2でTTL自動調光を使うには
オリンパスOM-2でTTL自動調光を使うには、専用のTTLストロボが必要です。
また、OM-2のアクセサリーシューは外付け式のため、TTLストロボに対応したシューも用意が必要です。
さらに、OM-2とマイナーチェンジ機のOM-2N(後述)でもアクセサリーシューが異なります。
具体的な組み合わせとしては……
ストロボ\本体 | OM-2 | OM-2N |
クイックオート310 | シュー2 | シュー2 |
T32、T20等Tシリーズ | シュー3 | シュー4 |
ただし非常に重大な注意点として、中古のオリンパスOM-2用TTLストロボは、経年劣化が発生しているものが大多数です。
発光していたとしても、そもそも光量が落ちるなど正常動作していないものがほとんど。
TTLストロボは現代にも通じるとても重要な機能ではありますが、正直なところをいえば、歴史的価値はさておき、いま中古でOM-2を買ってTTLストロボの実用を考えるのは、かなり厳しいといえるかもしれません。
むしろ小型軽量さと絞り優先AEを活かして、気軽に持ち出せる相棒にするのがよいかもしれませんね。
長時間露光でも適正露出
なお、もちろんストロボ撮影以外でもOM-2のTTLダイレクト測光は大きく活かすことができます。
たとえば長時間露光。
秒単位のスローシャッターを切りたいというときに、シャッターを開いた露光中に急に光線条件が変わった場合、適正露出になった瞬間に自動でシャッターを閉じることができるのです。
TTLダイレクト測光が可能なのはAE時のみ
ただし。
オリンパスOM-2でTTLダイレクト測光が可能なのは、絞り優先AEの使用時のみとなります。
マニュアル撮影時には、ファインダーアイピース横に設置されたCdS(硫化カドミウムセル)が使用されるという、至って平凡な露出計が動作。
事実上、OM-1と同様の方式です。
実用上、マニュアル撮影ではこれで全く困らないですが、2系統の露出計を積んでいるというのは、新機能が出始めた過渡期ならではの設計といえるかもしれません。
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オリンパスOM-2と兄弟機
OM-2は途中でマイナーチェンジが行われているほか、同じくOM-2を名乗りながら、実質的にほとんど別のカメラである後継機も存在します。
オリンパスOM-2(無印)
初代機種です。
1975年発売。
オリンパスOM-2N
1979年発売のマイナーチェンジ機。
OM-1に対してのOM-1Nに相当する機種となります。
中古で買う場合、内部構造が刷新され信頼性が高まっていることが最大の魅力。
機能面ではストロボ関係の表示がファインダー内で確認できるようになっており、細かくは絞り優先AE時の最長シャッター速度が60秒から120秒に延長されています。
カメラに刻印された機種名にも「N」が追加されているので簡単に判別できます。
オリンパスOM-2SP
OM-2を名乗っていますがまったく別の機種です。
1984年発売。
名称のSPはSPOT PROGRAMの略称です。
露出はマニュアル、絞り優先のほかプログラムAEを搭載。
TTLダイレクト測光を搭載しているのはOM-2ゆずり。
マニュアル露出時の露出計がスポット測光となっています。
外装デザインも1980年代の機種らしく、クラシカルさのなかに電子部品のメカメカしさを感じられるものへと変化しています。
オリンパスのフィルムカメラについて知るならこちらの記事もおすすめ
OM-2で使えるおすすめレンズを知るならこちら
オリンパスのかずかずの名機 代表機種について知る
小型軽量の絞り優先機で軽快に撮影しませんか?
当時の先進技術、TTLダイレクト測光を採用したオリンパスOM-2。
一見地味ながら、撮影の幅を大きく広げることを実現した、カメラの歴史上とても重要な機種でした。
これから中古で手に入れる場合には、絞り優先AEを搭載していることがアピールポイントとなるでしょう。
小型軽量の絞り優先AE機自体は数多くありますが、ダイヤル式の軽快な操作でマニュアル操作が使える中古機種は数少ないもの。
最初は簡単なオート撮影から入門して、マニュアル撮影へと徐々にステップアップできますよ。
OMシリーズならではの端正なカメラ、OM-2を、ぜひあなたも中古で手に入れて撮影してみませんか?
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