[オールドレンズ撮り比べ1] CONTAX Planar T* 50mm F1.4 MMJはレンズ沼へ引き込む銘玉
今回より『オールドレンズ・フィルムカメラ』について連載することになりました、雨樹一期(あまきいちご)です。よろしくお願いします。
第1回はCONTAX(コンタックス) Planar T* 50mm F1.4 MMJです。フィルムカメラはCONTAX(コンタックス) Ariaとミラーレス一眼カメラはSony(ソニー) α7を使用しました。
結果を先に書いちゃいますが、いきなりドハマリ出来るレンズでした。
当コラムでは、オールドレンズを使って、フィルムカメラ・ミラーレス一眼カメラの作例撮り比べをしていきます。
デジタル専用のレンズで撮るものとは描写もガラリと変わるので、その違いも楽しんで頂ければと思います。
僕はフィルムカメラを使っての撮影が好きで、トイカメラを含めていろんなカメラを所有しています。
でも、カメラ自体はレンズが交換出来ないコンパクトなものが大半。
フィルムカメラには精通していますが、オールドレンズはあまり使ったことがありません。
実際にさまざまなオールドレンズ・中古レンズを体験しながら、その魅力や楽しさに触れていき、生の声をお届け出来ればと思っています。
僕がこれからどんどんハマっていく過程も楽しんで頂ければと思います。
それではCONTAX(コンタックス)Planar T* 50mm F1.4 MMJの撮り比べ、いってみましょう!
目次
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オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
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Planar T* 50mm F1.4 MMJをフィルムとミラーレスで撮り比べてみた
まずは同じ被写体をフィルムカメラとミラーレス一眼カメラで撮り比べた作例から見ていきましょう。
Planar T* 50mm F1.4 MMJであじさいを撮る
フィルムカメラで撮影/感度:ISO400/シャッタースピード:1/2000/絞り:F1.4/フィルム:富士フイルム PRO400H
ミラーレスカメラで撮影/感度:ISO400/シャッタースピード:1/2000/絞り:F1.4
あじさいの花を最短に近いほぼ同じ撮影距離、絞り解放で撮影してみました。
感度も同じISO400、露出も同じです。
見ての通り、同じPlanar(プラナー)というレンズなのに、フィルムとデジタルで色の乗りが変わりました。
フィルムは油絵のようなべっとりとした色乗り。デジタルはスッキリしています。
ただし、これに関してはレンズの性能もありますが、使うフィルムやカメラの設定によっても変わりますね。
Planarにハマりそう
Planar(プラナー) T* 50mm F1.4 MMJで撮ってみた第一印象は『あかん。やばい。ハマりそう』です。
この発言をした人はだいたいすでにハマっています(笑)。これ以上カメラが増えるのも……と思いつつ増えていくのがフィルムカメラ。カメラを使いこなせていなくても購入したくなるのが、レンズ。
フィルムカメラやレンズは『沼』です。でもそこに沈んでいくことが楽しいのです。
僕の写真家としての仕事は教えることも多いのですが、ある意味ではそんな沼に引っ張る活動でもあります。
このPlanar(プラナー) T* 50mm F1.4 MMJをはじめとするCarl Zeissのレンズはもっとも深い沼のひとつ。
たくさんの作例写真を掲載していきますが、一緒に沈みたくなるような写真だと嬉しいです。
なお、今回取り上げたPlanar(プラナー) T* 50mm F1.4 MMJについてはコチラの僕のblogにもミラーレス一眼カメラでの作例を載せています。
CONTAX Aria(フィルムカメラ)で撮影
次に中古フィルムカメラCONTAX Aria(コンタックス アリア)で撮った作例です。
Planar T* 50mm F1.4 MMJとPRO400Hで撮る
感度:ISO400/シャッタースピード:1/1000/絞り:F1.4
フィルムは『FUJI PRO400H』を使用。天気は曇りです。明るく撮ることでふんわりとした優しい写真になるのが『PRO 400H』の特徴です。
※2022年追記:FUJIFILM PRO400Hはプロ向けのとても良いフィルムでしたが製造終了しています。プロ向けのカラーネガフィルムとしては、KodakのPortra(ポートラ)がおすすめです。
今回はフィルムの質感が出やすいように、適正露出で撮影しました。この作例はとくに、よい意味でざらっとしているのが分かると思います。
白〜黒のグラデーションもとても滑らかですね。
感度:ISO400/シャッタースピード:1/2000/絞り:F1.4
このザラつきと少し甘いピント、ノスタルジックな雰囲気はフィルム特有なものですね。
適度なコントラスト、色乗りもいいですね。
明るく撮ることで優しい雰囲気に
感度:ISO400/シャッタースピード:1/125/絞り:F1.4
露出を変えてみた作例です。
適正露出よりも明るめに撮るとふんわりします。今回はマニュアルで撮影していますが、オートで撮影するなら露出補正で+1〜+2に設定しましょう。
ただしフィルムの質感は適正露出の方が感じられますね。
被写体の質感と全体の雰囲気。
求める表現によって露出を使い分けてみるとよいでしょう。
感度:ISO400/シャッタースピード:1/1000/絞り:F2.2
感度:ISO400/シャッタースピード:1/1000/絞り:F1.4
フィルムごとの質感 関連記事
こちらの関連記事では、CONTAX Aria(コンタックス アリア)とPlanar T* 50mm F1.4 MMJの組み合わせで更にいろいろなフィルムを撮り比べています。
作例も多数掲載しているので、ぜひご覧ください。
SONY(ソニー) α7で撮影
次に、ミラーレス一眼カメラで撮影した作例です。
今回は中古価格が手頃なSONY α7(初代)をチョイスしています。
SONY(ソニー)α7 / Planar T* 50mm F1.4 MMJで撮る
絞り:F1.4/露出補正+2.3
ミラーレス一眼カメラでの撮影はSONY(ソニー) α7を使用。絞り優先で露出補正を+1〜3で撮影。玉ボケも意識して撮影しました。
玉ボケは逆光気味の撮影で、背景に木などがあれば簡単に作れます。絞りを開放にするほど丸くなりますよ。
露出補正を掛けたときの写りの違いがすぐにわかるのは、ミラーレス一眼カメラならではのメリットですね。
絞り:F1.4/露出補正+2
絞り:F1.4/露出補正+1
絞り:F1.4/露出補正+1
さすがはPlanar(プラナー) T* 50mm F1.4 MMJ。
ミラーレス一眼カメラでも描写は素晴らしいですね。そしてとろとろのボケ。プラナーの中古相場が下がらない理由が分かります。
順光よりも逆光での撮影が個人的には好きです。
そこにこだわり過ぎる必要もありませんが、写真の中に明暗差を付けるといいですね。
絞り値を変更して撮影
次に、絞り値ごとの描写の変化を見ていきましょう。
F1.4(開放)
まず開放のF1.4で撮影した作例です。柔らかくて優しい雰囲気になりますね。
被写界深度(ピントの合う幅)の狭さも分かります。
F5.6
この作例は少し絞ってF5.6で撮影。あじさいの花もパリっとしていていいのですが、玉ボケ部分は絞りの形と同じ六角形に。
銘レンズといえるPlanar T* 50mm F1.4ですが、絞り枚数が少ないのはこの時代の一眼レフ用レンズとして仕方ないところです。
いっぽうピントが合っている箇所はまさに絶品。
ついつい開放で撮ってしまいたくなるレンズですが、絞るほどに締まりのある写真になりますね。
オールドレンズはマニュアルフォーカスでの撮影になるので、F1.4での撮影となるとピント合わせに少し苦戦するかもしれません。
MFに慣れていない方は、F5.6〜8で撮影して被写界深度を稼いだり、動かない被写体で練習するのもオススメです。
色温度(ホワイトバランス)を変更して写真を演出
さらにPlanar T* 50mm F1.4で遊んでみました。
今度はフィルムカメラには真似のできない、ミラーレス一眼カメラならではの機能、色温度(ホワイトバランス)を変えてみます。
色温度3,600K
絞り:F1.4/露出補正−0.6/色温度3,600K
こちらの作例は露出補正をマイナスに、色温度を3,600K(ケルビン)に変更して撮影しました。
カメラの設定で変更が可能です。
色温度とは簡単にいうと光を数値化したものです。たとえば太陽の下で撮るなら、5,000Kに合わせることで、ちゃんとした色で撮影することが出来ます。
デジタルの場合はカメラが勝手に合わせてくれますが、フィルムでは色の付いたレンズフィルターなどを使って補正する必要がありました。
「色温度」を知らなくても「ホワイトバランス」なら聞いたことはあるかなと思います。
色温度を2,500〜3,200Kに設定して撮影することで、全体が青味がかかります(ホワイトバランスの『電球マーク』でも可)。
普段はホワイトバランスをオートで撮影して問題ありませんが、あえて変えることで色味がガラッと変わるので面白いですよ。
色温度3,000K
絞り:F1.4/露出補正−1/色温度3,000K
この作例写真ではさらに色温度を下げてみました。
枯れ落ちたバラの花びら。潜り込んで撮影しています(笑)。露出補正を−1で暗めに撮ることで、薔薇の棘などがシルエットになっており、明暗差がより顕著にあらわれています。
絞り:F1.4/露出補正−0.3/色温度3,000K
さらに潜り込んで見つけた玉ボケ。
ピントを無視して玉ボケが一番キレイな瞬間にピントを合わせて撮影しました。
さすがにここまでやっちゃうとうるさいかもしれませんが、色の滲みがいいなと感じました。
普段はミラーレス一眼カメラ+オールドレンズを使いつつ、フィルムも少しずつ嗜んでいけば、カメラの世界がどんどん楽しくなりますよ。
今回使用したミラーレス一眼カメラについて
今回は「手ごろなボディでオールドレンズを楽しむ」ことをテーマに初代α7を使用しましたが、オールドレンズをミラーレス一眼カメラで楽しむなら――
中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。今回使用したマウントアダプター
今回の撮影では、定番のマウントアダプター、K&F ConceptのY/Cマウント – SONY Eマウントアダプターを使用しました。
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Planar T* 50mm F1.4 MMJのレンズ情報
Planar T* 50mm F1.4 MMJとはどんなレンズなのでしょうか。
ここからは雨樹さんに代わって、中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ blog担当スタッフがうんちくを簡単に紹介します。
ダブルガウスレンズの代表格
中古価格 | 55,000-65,000円程度 |
マウント | Y/Cマウント |
構成 | 6群7枚 |
メーカー | Carl Zeiss(ヤシカ、京セラ) |
Planar(プラナー)というのは、ドイツのCarl Zeiss(カール・ツァイス)のレンズの製品名です。
ツァイスのレンズはレンズの構成によって名称が決まりますが、Planarはダブルガウスというレンズタイプにつく名称。
というよりも、6枚のレンズから成り立つ典型的なダブルガウスタイプの写真レンズは、カール・ツァイスのパウル・ルドルフ博士によって発明されたのです。
ただし、空気と接する面が多いという不利のある(光が反射し光量の損失が生じる)ダブルガウスタイプが本当に普及するには、コーティング技術が発明されるのを待つ必要がありました。
そして第二次世界大戦後、一眼レフカメラが広まるとともに、バックフォーカスを取りやすいというメリットのあるダブルガウスタイプは、標準域のレンズの主流となっていったのです。
ヤシカ・コンタックスのPlanar
西ドイツのカール・ツァイスと日本のヤシカが提携し、1975年に誕生した新生CONTAX。
その標準レンズとなったのがPlanar T* 50mm F1.4でした。
ヤシカ・コンタックスのレンズには、大きく分けてAEレンズとMMレンズがあります。
1975年のヤシカ・コンタックス誕生時からのレンズがAEレンズ。
その後、プログラムAEとシャッター優先AEに対応したのがMMレンズです。
また、ヤシカ・コンタックスにはドイツ製レンズと日本製レンズがあり、ドイツ製はG(AEG、MMG)、日本製はJ(AEJ、MMJ)をつけて呼ばれます。
つまり、今回取り上げたPlanar T* 50mm F1.4 MMJは、MMJとあるとおり「MMレンズ、日本製」ということになりますね。
オールドレンズやフィルムカメラの流行で、中古カメラやレンズの価格相場は大きく変わっていますが、Planar T* 50mm F1.4をはじめとするCONTAXのレンズは、ずっと高い中古価格を保っています。
これは描写の良さとツァイスのブランド価値、その双方を兼ね備えているからこそのことといえるでしょう。
Planar T* 50mm F1.4 MMJの関連記事
Planar T* 50mm F1.4 MMJをはじめとする、ヤシカ・コンタックスのレンズについてはこちらの記事で解説しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
さすがオールド標準レンズの定番
オールドレンズの描写を味わいたい。
そう思ったとき真っ先に欲しくなるのがCarl Zeissのレンズだと思います。
Planar T* 50mm F1.4 MMJの描写をみてわかったのは、オールドレンズを語るうえで避けて通れない銘玉だということでした。
50mmにはいくつもの銘玉がありますが、中古レンズのなかでも定番になるのにはそれだけの理由があるんですね。
次の記事でもヤシカ・コンタックスのCarl Zeissレンズを紹介します。
ぜひご覧ください!
次の記事はこちら
[オールドレンズ撮り比べ2] Distagon T* 25mm F2.8 / Planar T* 85mm F1.4 カメラマンおすすめのCONTAXレンズ
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