PENTAX K2・KX・KM ペンタックスのフィルムカメラKシリーズとは?
今回は、ペンタックスの中古フィルムカメラ、Kシリーズについて解説します。
いまも小型軽量のデジタル一眼レフで独自の地位を保っているペンタックス(PENTAX)。
レンズマウントは互換性の高いKマウントを一貫して採用していて、フィルムカメラ時代のオールドレンズが手軽に使えるのが魅力です。
この記事で紹介するアサヒペンタックスKシリーズは、そんなKマウントを初めて採用したフィルム一眼レフカメラ。
K2、KX、KMの3種類と、その派生機種が存在します。
M42マウントから移行するため、それまでとはコンセプトの異なったカメラとなりました。
結果として1年ほどで次世代のペンタックスMシリーズが登場してしまったため、ペンタックス製フィルム一眼レフカメラのなかでは影が薄い存在と思われがち。
でも、じつは隠れた実力派。
その末裔は1990年代まで販売が続けられていたのです。
信頼性にもすぐれ、中古でも狙い目のアサヒペンタックスKシリーズ。
いったいどんなカメラなのでしょうか?
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アサヒペンタックスKシリーズ
ペンタックスのKマウント移行に合わせて発売した、アサヒペンタックスKシリーズ。
K2、KX、KMとは、いったいどんなフィルムカメラなのでしょうか?
アサヒペンタックスKシリーズとは
アサヒペンタックス(ASHI PENTAX)Kシリーズとは、1975年、ペンタックスが初めて発売した、Kマウントのフィルム一眼レフカメラです。
Kマウントとは、現代のペンタックス製デジタル一眼レフカメラでも使われているレンズマウントのこと。
もともとペンタックスは、M42スクリューマウントを採用していました。
ところが、M42スクリューマウントにはカメラを改良していくうえで不都合が多かったため、より高機能なバヨネットマウントへ移行することとなったのです。
M42スクリューマウントについては、こちらの記事で解説しています。
1975年に登場したKマウントは、ユーザーの利便のために、M42スクリューマウントと高い互換性をもったマウントとなりました。
純正のマウントアダプターを使うことで、簡単にM42スクリューマウントのレンズの取り付けが可能な構造になっています。
また、Kマウントは「ユニバーサルマウント」。
パテントが公開されているため、ペンタックス以外のカメラメーカーも、自由にKマウントを使うことができました。
Kマウントについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。
Kマウント最初のカメラ・Kシリーズ
ペンタックス(旭光学)が社運を賭けたKマウントへの移行。
それに合わせて新発売したのが、この記事で解説するKシリーズです。
1975年、K2、KX、KMの3機種が発売。
それ以前のペンタックス製フィルムカメラに比べ、ぐっと現代的な外観になりました。
「K」とは「King」の頭文字に由来。
一眼レフの王様を目指したネーミングは、現代のデジタル一眼レフカメラ、Kシリーズにも受け継がれています。
Kシリーズの特徴
アサヒペンタックスKシリーズが、ペンタックスSPをはじめとするそれまでの同社製品と異なったのは、ボディが大型化したことでした。
もともとペンタックスのM42スクリューマウントのカメラは、小型軽量な一眼レフとして知られていました。
ですが、Kシリーズでは全体的にボディを大型化。
ミノルタやニコンといった、同時代の他社製一眼レフと大差ないサイズになっています。
1年でMシリーズに移行
ところが、このKシリーズは、市場にあまり受け入れられなかったのかもしれません。
翌1976年には、アサヒペンタックスMXをはじめとする、より小型化したペンタックスMシリーズが登場。
Kシリーズは徐々に発売が終了していきます。
これは、1972年のオリンパスOM-1登場以来、小型軽量のフィルム一眼レフカメラが市場のトレンドとなっていたため。
ペンタックスも、もともとの売りだった小型軽量に回帰していくこととなります。
ただし、Kシリーズ登場からMシリーズ登場までの期間が1年と短すぎるので、そもそもKシリーズはMシリーズまでのつなぎだった可能性も否めません。
アサヒペンタックスKシリーズを中古で使うメリット
しかし、フィルムカメラのアサヒペンタックスKシリーズが大柄なボディであることは、現代の視点から見るとメリットでもあります。
その理由が信頼性。
後継のペンタックスMシリーズは、ほとんどの中古が経年劣化していて、オーバーホールしなければ使えないことがほとんどです。
それに対しアサヒペンタックスKシリーズは、ペンタックスSPから受け継がれた「枯れた設計」のため、トラブルが少ないのです。
多彩なKマウントレンズが使えることもあり、もしペンタックスの中古フィルムカメラがほしいなら、Kシリーズは狙い目の機種です。
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アサヒペンタックスKシリーズ 各機種解説
それでは具体的に、ペンタックスKシリーズの各機種について見ていきましょう。
ASAHI PENTAX K2(アサヒペンタックスK2)
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、8秒~1/1000秒 電子式(B、1/125は機械式) 縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL開放中央重点測光 SPD受光素子 |
露出 | 絞り優先AE マニュアル |
ファインダー | アイレベル固定式 視野率約95% 倍率約0.88倍 |
レンズマウント | Kマウント |
対応レンズ | 絞り環のあるKマウントレンズ |
電池 | LR44(Amazon)x2またはSR44(Amazon)x2 |
発売年 | 1975年 |
アサヒペンタックスK2は、アサヒペンタックスKシリーズの最上位機種として登場したフィルム一眼レフカメラ。
特徴は、下位機種と異なり、電子式シャッターを採用し、絞り優先AEを搭載していることです。
ペンタックスは、M42スクリューマウントの時代、すでにアサヒペンタックスESで絞り優先AEを実現していました。
基本的にはその流れに連なるカメラですが、信頼性はぐっと向上。
ほとんどが故障しているペンタックスESやESIIと違い、安心して使えます。
ただし、このアサヒペンタックスK2は最上位機種としては少々スペック的に力不足なカメラでもありました。
まず、モータードライブに対応していないこと。
そして、後述する下位機種のアサヒペンタックスKXにはある、絞り値直読窓がないことです。
そのようなユーザーの不満に対応するために、アサヒペンタックスK2の改良版が登場することとなります。
各部画像
ASAHI PENTAX K2 DMD(アサヒペンタックスK2DMD)
アサヒペンタックスK2DMDは、K2の改良型です。
1976年発売。
DMDとは「ダイレクトモータードライブ」の略。
その名の通り、モータードライブの取り付けが可能となりました。
また、ファインダーに絞り値直読窓を追加。
もともとシャッター速度はファインダー内に表示されているので、ファインダーから目を離さずにすべての操作が可能となりました。
その他の改良点として、AEロックの追加と、アイピースシャッターの内蔵が挙げられます。
それ以外は基本的にアサヒペンタックスK2と同様です。
各部画像
ASAHI PENTAX KX(アサヒペンタックスKX)
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、1秒~1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL開放中央重点測光 SPD受光素子 |
露出 | マニュアルのみ |
ファインダー | アイレベル固定式 視野率約93% 倍率約0.88倍 |
レンズマウント | Kマウント |
対応レンズ | 絞り環のあるKマウントレンズ |
電池 | LR44(Amazon)x2またはSR44(Amazon)x2 |
発売年 | 1975年 |
アサヒペンタックスKXは、アサヒペンタックスKシリーズの中級機。
フルメカニカルの、至ってオーソドックスなフィルムカメラです。
1〜1/1000秒のシャッター、SPD受光素子の露出計と、信頼性の高い、奇をてらわないスペックが魅力。
K2にはなかった絞り値直読窓も最初から組み込まれています。
上位機種のK2が電子シャッターのため、中古カメラ愛好家にとっては、むしろこちらのKXのほうが好まれることも多かった様子。
1970年代中盤のペンタックス一眼レフの名機として、中古でも人気が高いです。
KXと、MシリーズのMX、そしてフラッグシップ機種のLXは、どれも名前に「X」が含まれることから、「3X」として愛好家に一目置かれる中古カメラとなっています。
各部画像
ASAHI PENTAX KM(アサヒペンタックスKM)
形式 | 35mmフィルム一眼レフカメラ |
シャッター | B、1秒~1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | TTL開放中央重点測光 CdS受光素子 |
露出 | マニュアルのみ |
ファインダー | アイレベル固定式 視野率約90% 倍率約0.87倍 |
レンズマウント | Kマウント |
対応レンズ | 絞り環のあるKマウントレンズ |
電池 | LR44(Amazon)x2またはSR44(Amazon)x2 |
発売年 | 1975年 |
アサヒペンタックスKMは、アサヒペンタックスKシリーズの廉価機種。
アサヒペンタックスKXとスペック的には似ていますが、内部構造は前代のM42スクリューマウントの機種とほとんど変わらない、保守的な設計です。
基本的には、アサヒペンタックスSPFをKマウント化したもの。
そのため、壊れるところのない、信頼性が高いカメラに仕上がっています。
露出計にはスイッチがなく、レンズキャップをするだけで電流が流れなくなる(電源がオフになる)構造となっています。
絞り値直読窓はないですが、上位機種同様に絞り込みプレビューボタンがあるのはうれしいところです。
シンプルさゆえに、高性能な露出計や絞り値直読といった機能が不要なユーザーに長く愛用されました。
根強い需要があったために、製造終了後に後述のK1000として復活もしています。
各部画像
PENTAX K1000(ペンタックスK1000)
後期型(プラ外装):ファインダー部のAOCOマークがない
ペンタックスK1000は、実質的にアサヒペンタックスKMの復刻版ともいえる機種。
機能的には、絞り込みプレビューとセルフタイマーが省略されています。
その他の機能はほぼ同一です。
国内発売は1986年で、じつはそれ以前から海外向けの廉価版としては製造されていました。
すでにカメラの自動化が進んでいた1986年にこのような機種が登場したのは、天体写真のための需要があったため。
望遠鏡にカメラを接続して星を撮る天体写真では、露出計や自動露出(AE)は必要ありません。
また、天体写真ではバルブ(シャッターを開放する)撮影を多用します。
当時の最新機種はバルブ撮影時にも電池を消費するので、すぐに電池がなくなってしまうという問題がありました。
その点、完全に機械式のペンタックスK1000なら、どれだけ長時間シャッターを開いても、電池が無くなる心配はありません。
このような事情で、古い設計のペンタックスK1000は1990年代まで販売されるロングセラーとなりました。
製造期間中に設計が変更されており、前期型はKM同様の金属製外装。
途中から外装がプラスチックになり、製造も日本製から香港製に移行しています。
前期型(金属外装):ファインダー部にAOCOマークがある
なお同様の用途のカメラとしては、コシナCT1シリーズがOEM提供された、ビクセン等のブランドの一眼レフも挙げることができます。
各部画像
Kマウントオールドレンズをフィルムで使うならペンタックスKシリーズ
K2、KX、KM。
アサヒペンタックスKシリーズは、後継のMXやMEのようにけっしてキャラが立ったフィルムカメラではありません。
ですが、中庸ゆえの使い勝手の良さから、オールドレンズをフィルムで楽しむのに最適な中古一眼レフだといえるのではないでしょうか。
操作性もとてもオーソドックス。
ぜひ、アサヒペンタックスKシリーズでKマウントやM42マウントのオールドレンズを楽しんでみませんか?
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更新履歴
2022年8月5日
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