ぜひ使ってみたいペンタックスKマウント中古レンズ名玉11選
フィルムカメラの時代から現代のデジタル一眼レフまで、ペンタックスのカメラが採用し続けているKマウント。
長らく使い続けられてきたマウントだけあって、ペンタックスKマウントの中古レンズには、歴史に残る名玉がよりどりみどりです。
初のフルサイズデジタル一眼レフ、ペンタックスK-1も登場し、その性能をすべて引き出すことができるようになったKマウント中古レンズ。
以前にも増して注目の集まるレンズマウントだといえるのではないでしょうか。
もちろん、ペンタックスのデジタル一眼レフやフィルム一眼レフ以外でも、Kマウントレンズはマウントアダプターで簡単に使用可能。
ペンタックスならではの、他社とは違った「変わった」レンズや、ユニバーサルマウントならではの他社製レンズなど、さまざまな中古レンズの味を楽しむことができますよ。
今回は、LXをはじめペンタックスのカメラを愛用してきた、自他ともに認める「ペンタ党」の筆者が、ペンタックスKマウントならではのおすすめ中古オールドレンズを紹介します!
目次
ぜひ使いたいペンタックスKマウント中古レンズ11選
さっそく、中古で手に入れて使ってみたいペンタックスKマウントの名レンズたちを紹介したいと思います。
ペンタックスKマウントレンズは、ニコンやCanonにも並ぶ名玉がよりどりみどり。
ぜひ旭光学からの伝統を誇るKマウントレンズを楽しんでみてくださいね。
1.SMC PENTAX-A 50mm F1.2
まず最初に挙げるのが、大口径の標準レンズ、SMC PENTAX-A 50mm F1.2。
ペンタックスKマウントレンズの中でも一番の明るさを誇る、ぜひ使ってみたいハイスペックレンズです。
描写は鮮やかで上質なもの。
明るいレンズながらフラッグシップだけあり解像力も一定のレベルをゆうに超えています。
基本的にはマニュアルフォーカスのレンズで、設計は80年代のものとなりますが、実はこのレンズ、非常に息が長かった製品。
AF化以降のレンズには開放値F1.2という製品が設定されなかったため、名実ともにペンタックスKマウントレンズのフラッグシップとして、21世紀に入っても長らくカタログに載り続けたのです。
しかしながら2011年にカタログ落ちしてしまったため、現在では中古でしか手に入れることはできません。
デジタル化以降もこの明るさのレンズはペンタックス製品に存在しないため、超大口径のKマウントレンズとして貴重な選択肢です。
2.XR RIKENON 50mm F2
次に紹介するのはリコー製のレンズ、XR RIKENON 50mm F2。
少しでもKマウントに興味を持った人なら、必ず耳にしたことがあると思われる伝説の中古レンズです。
このレンズが伝説として名高い理由。
それが、ライカのズミクロンに匹敵する世界トップクラスの解像力です。
その事実が明らかになったのは1978年のこと。
カメラ雑誌『アサヒカメラ』のニューフェース診断室でこのレンズをチェックしたところ、当時のライカ製ズミクロンレンズとほぼ同レベルの高性能であることが判明したのです。
そのことからこのレンズは「和製ズミクロン」「プアマンズズミクロン」とも呼ばれています。
もしもこのレンズが高級レンズであったら、こんなにも伝説の存在になることはなかったでしょう。
しかしこのレンズの出自は、「リコー XR500」という廉価カメラのセットレンズというもの。
XR500は、「サンキュッパ」というキャッチフレーズで、レンズ込み39,800円という当時としては極端なまでの価格破壊を成し遂げたカメラなのです。
そんなレンズが、ゆうに10倍の価格差のあるズミクロン並みの性能を備えている。
まさに下克上です。
XR RIKENON 50mm F2は前期型がおすすめ
ただし、このXR RIKENON 50mm F2を中古で購入するときに注意したいことがあります。
それが「前期型」を選ぶということです。
このレンズには前期型と後期型があり、後期型では性能が下がってしまっているのです。
わかりやすい判別方法は、ピントリングのゴム巻き部分。
巻かれている部分のゴムの四角い刻印が、前期型は密に、後期型は粗くなっています。
またレンズ銘板も、「XR RIKENON L 50mm F2」と「L」が追加。
最短撮影距離も、前期型は0.45m、後期型は0.6mになっています。
ちなみに同一スペックのレンズとして、外装がパンケーキタイプになった「XR RIKENON P 50mm F2」もありますが、こちらはまったくの別物です。
3.SMC PENTAX-M 40mm F2.8
ペンタックスの標準域の中古レンズとしては、このレンズも外すことはできません。
パンケーキレンズの代表。
SMC PENTAX-M 40mm F2.8です。
このレンズの特徴。
それはとにかく、「薄い」という一言に尽きます。
パンケーキと呼称される中古レンズはあまたありますが、ここまで極端な薄型は稀なもの。
このレンズ以上に薄いレンズは、もしかすると存在しないのではないでしょうか?
それでいて、マニュアルフォーカスのレンズとしてしっかり使えるようになっています。
ヘリコイドにも絞りリングにもしっかりと指が掛かるようになっていて、操作性良好です。
発売当時はラインナップの中で最も安価な製品だったのですが、パンケーキゆえの希少性からプレミアが付き、現在でも中古価格はそれなりに高止まりしています。
基本的にはテッサータイプですが、4群5枚の変形型となっています。
無理のない設計なので素直な描写です。
4.SMC PENTAX-FA★ 24mm F2 AL[IF]
ここまで紹介してきた比較的小型の中古レンズとはうってかわって、今度は大型の高性能レンズを紹介します。
まず、SMC PENTAX-FA★ 24mm F2 AL[IF]。
ペンタックスがプロ向けに開発した、★レンズ(スターレンズ)の一員です。
発売は1991年。
オートフォーカスの★レンズのなかでも初期のものとなります。
性能面については、もはやとくに言うことはありません。
現代的な性能の現代レンズ。
フルサイズデジタル一眼レフのペンタックスK-1でも、問題なく使用することができるでしょう。
しかも、24mmとしては最も明るい部類に入るF2という開放値のため、超広角ながら背景をぼかすことも充分可能ですよ。
とくに、ペンタックスのフルサイズ用レンズはデジタル専用のラインナップがまだまだ少ないため、現役で使用できる貴重な選択肢であるといえます。
5.SMC PENTAX-FA★ 85mm F1.4 [IF]
もう1本、★レンズを紹介します。
中望遠のSMC PENTAX-FA★ 85mm F1.4 [IF]です。
明るい中望遠、かつ十分にコストをかけて作られていることから描写面では、当然ながらウィークポイントは一切なし。
中望遠に求められるボケのきれいさも、騒がしさや嫌らしさのない、非常に繊細で美しいものです。
外観は超望遠を彷彿とさせる白外装。
高級・高性能レンズの面目躍如です。
発売は1992年ですが、性能的には十分現役。
他社製の最新中望遠に伍して使用可能です。
こちらもまた、ペンタックスK-1で単焦点を使いたい方にもぜひおすすめした中古レンズとなります。
ただし、他の中望遠もそうであるように、人気の高いレンズなので中古価格は少々高めです。
6.SMC PENTAX SOFT 85mm F2.2
さて、次に紹介するのは、同じ85mmでもまったくコンセプトが異なるレンズです。
SMC PENTAX SOFT 85mm F2.2は、その名称が表す通りソフトレンズ。
設計的には1群2枚のダブレットタイプで、適度に収差を残すことで独特な描写を実現しています。
絞りはレンコン絞りではなく通常の形状で、そのため絞りによってソフト効果を調整することも可能です。
ソフトレンズとしては、他社の製品に比べ、F2.2と明るめなことが変わっている点だといえるでしょう。
なおその機構上、自動絞りは搭載しておらず、手動で絞り込むことになります。
ソフトレンズならではの幻想的な描写を楽しむなら、ぜひこのレンズを中古で探してみましょう。
なお、AF時代のレンズとしてはFシリーズとFAシリーズにも85mm F2.8が存在しています。
7.SMC PENTAX 150mm F4
次に紹介するのは望遠レンズ。
Kシリーズの150mmで、M42マウントにも同様の焦点距離の製品があります。
レンズとして見たときには、性能的には至って標準的なもの。
普通の明るさの普通の望遠、のようにも見えるのですが……。
特徴的なのが、35mm用のレンズで150mmの単焦点ということ。
なかなか見ない焦点距離です。
実はペンタックスは、M42マウントのスーパータクマーの時代から、100mm強の焦点距離のレンズを不自然なほど小刻みにラインナップしていました。
- 100mm
- 120mm
- 135mm
- 150mm
と、望遠レンズの単焦点だけでこんなにも種類があるのです。
↑SMC PENTAX-M 100mm F2.8
一味違う望遠レンズが欲しいなら。
120mmや150mmのペンタックスレンズを使ってみるのも面白いですね。
8.SMC PENTAX-F 70-210mm F4-5.6
こちらは望遠ズーム。
初代AFレンズのSMC PENTAX-Fシリーズの1本となります。
SMC PENTAX-F 70-210mm F4-5.6は、そのスペックだけを見れば、至って普通の望遠ズームです。
70-210mmという焦点距離も普通、開放値もとくに明るくありません。
それなのに、このレンズが珍重される理由。
それが、スペックには書かれていないのに、EDレンズが使用されているためなのです。
「隠れEDレンズ」として、一部のカメラファンの間では、レンズの「格」に比して高額で取引されることも。
描写は非常に素直。
ズームレンズながらボケも比較的きれいです。
このレンズがEDレンズを採用したのは、性能面よりも、むしろ小型化のため。
EDレンズを使用することで、小型の鏡筒で無理なく一定の性能を実現することができたのです。
まさに、小型軽量のペンタックスならではの知恵だといえるでしょう。
ちなみに、似通ったスペックのレンズでSMC PENTAX-F 70-200 F4-5.6(望遠側が200mm)が存在しますが、これはまったくの別物。
EDレンズは使用されていません。
ぜひ中古で手に入れたいLimitedレンズ
さて、ここからは、ペンタックスKマウントの中古レンズを楽しむなら絶対に外すことはできない、Limitedレンズについて紹介していきます。
単なるカタログ上の性能だけでなく、レンズの「味」やアルミ削り出しの高級感あふれる鏡筒など、すべてにこだわったLimitedレンズ。
いったいどんな魅力があるのでしょうか?
9.SMC PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited
銀鏡筒
黒鏡筒
ペンタックスKマウントのLimitedレンズの中を代表する1本。
それがSMC PENTAX-FA 43mm F1.9 Limitedです。
このレンズには独自の設計思想が存在します。
まず、レンズの味。
普通、レンズを設計するときには収差を可能な限りなくすことを前提とします。
ところが。
このLimitedレンズでは、「あえて」収差を残すことにより、質感や味を演出することに成功しているのです。
味を出すために意図的に収差を残すというのは、それまでのレンズ設計では考えられなかったこと。
収差が補正しきれなかったものが結果として「味」と認識されているレンズが多い中で、意図して創り上げたものだけあり、破綻のない解像した描写と、柔らかく雰囲気のある描写が両立されています。
また、43mmという珍しい焦点距離にも理由があります。
実は、この43mmというのは、36x24mmというライカ判(フルサイズ)の画面サイズの対角線長なのです。
一般に35mmフルサイズの標準レンズは50mmとされていますが、その理由は歴史的にたまたまそうなったというだけで、とくに必然性はありません。
そこでペンタックスの技術陣は、数字から導き出された「本当の標準レンズ」を生み出そうと、この焦点距離を導き出したのでした。
Limitedレンズの中からどれか1本を選ぶとしたら。
31mmと悩むところではありますが、筆者としてはこの43mmを推したいと思います。
性能、描写、設計思想、どれをとっても魅力的な、Kマウント中古レンズの名玉中の名玉です。
10.SMC PENTAX-FA 31mm F1.8 Limited
標準・広角・中望遠と3本揃った、初代Limitedレンズの1本。
「Kマウントレンズ最高の1本」とペンタックスファンの間で名高い、こちらも伝説・至高の名玉です。
なにをもって、このレンズが最高の1本であるのか。
それは一言では言い表すことはできません。
まず、収差が少なく、解像力が非常に高い。
開放でも非常にハイレベルに解像する。
そして、ボケの滑らかさ。
さらには、すべてのものを美しく空気感あふれる描写で写し撮る、数字に現れない能力まで……。
とにかく、すべての面において他のペンタックスレンズより1枚も2枚も上手の性能を持ったオーパーツ。
それこそがSMC PENTAX-FA 31mm F1.8 Limitedなのです。
もしペンタックスの1本を選ぶならこのレンズ。
そんな意見もペンタックスファンの間では広くみられます。
このレンズが中古でも非常に人気が高い理由のひとつとして、ペンタックスが長らくAPS判のデジタル一眼レフしか販売してこなかったことも挙げられます。
実はこの31mmという焦点距離は、フルサイズに換算すると約47.5mmとなり、標準レンズとして最適なのです。
現行品ということもあり、比較的中古価格も一定の水準を保っています。
11.SMC PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited
最後に、フィルム時代のLimited 3兄弟のもう1本。
SMC PENTAX-FA 77mm F1.8 Limitedについて紹介します。
基本的には明るい望遠レンズ。
解像力と描写力の両立、高い質感などは、他のLimitedレンズと同様。
なかでも、このレンズが素晴らしいのはなんといってもボケ味です。
先に紹介した85mm F1.4の★レンズも素晴らしいボケ味を持っていましたが、もしかすると、こちらのレンズのボケ味は次元が違うものと言い切ってしまってもよいかもしれません。
柔らかく自然な中に確実に線があるボケ。
「味」にも配慮したLimitedレンズだからこそ実現できた奇跡です。
もちろん開放でも解像するので、ボケを活かしきることができますよ。
ポートレートレンズとしては他のレンズが選ばれがちなこともあり、Limitedレンズのなかでは地味な存在ですが、中古を手にしてけっして損はしません。
ボケ味を重視するなら、85mm F1.4の★レンズよりも、むしろこちらを選ぶのがおすすめです。
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ペンタックスKマウントとは
さて、ここまで紹介してきたペンタックスKマウントとはどんなレンズマウントなのでしょうか?
特徴について紹介します。
ペンタックスKマウントの登場
「初代Kマウント」アサヒペンタックスK2
ペンタックスKマウントが登場したのは1975年のこと。
それまでのペンタックス製フィルム一眼レフカメラが採用していた、M42スクリューマウントからの変更でした。
変更の理由は、それまでのM42スクリューマウントの拡張が限界に達していたため。
スクリューマウント(ねじ込み式)では不可能な機能の実現のため、より現代的なバヨネットマウントへと移行したのです。
じつはすでに、ペンタックスはM42スクリューマウントを限界まで拡張しきっていました。
装着時に「カメラとレンズの位置が厳密に一定にならない」というスクリューマウントの弱点を乗り切り、1971年のアサヒペンタックスESでは開放測光と絞り優先AEを実現。
しかしながら、更なるカメラの改良のためには、バヨネットマウントへの変更が不可欠になっていました。
そこで、ペンタックスはマウントの変更へと乗り出したわけですが、これはまさに英断中の英断でした。
なぜなら、既に数百万台以上を売っていた、それまでのM42マウント一眼レフのユーザーを切り捨てることにもなりかねなかったためです。
カメラメーカーにとってレンズマウントの変更は一大事。
結果としてペンタックスのマウント変更はユーザーに受け容れられ、現在に至るまで使い続けられているわけですが、一歩間違えばペンタックスのカメラがそっぽを向かれてしまう可能性もあったといえるでしょう。
Kマウントはユニバーサルマウント
さて、そんなKマウント最大の特徴。
それが、仕様が公開された「ユニバーサルマウント」だということです。
ユニバーサルマウントとは、すなわち、特別な使用料を払わずに、ペンタックス以外の各社も使うことができるマウントだということ。
これは、M42スクリューマウントが世界的に採用されたユニバーサルマウントだったことに由来していると見て間違いないでしょう。
世界中のカメラで使えるマウント。
再びそんなマウントとなる夢を描いて、Kマウントは設計・開発されたのです。
実際、Kマウントはペンタックス以外のメーカーにも非常に多く採用されました。
Kマウントを採用したリコーのカメラ(XR-7)
国内メーカーで例を挙げれば、
リコー、コシナ、チノン、トプコン。
とくにコシナのCT1シリーズは名前を変えて各社にOEM供給され、世界中で使われました。
そのため、AGFAやEXAKTAといった名門メーカー銘のKマウントカメラも存在しています。
海外での代表はロシアのZENIT。
中国製のPHENIX一眼レフでもKマウントが採用されています。
OEMによる名前違いのレンズや、ロシア製、中国製のレンズも存在するため、Kマウント中古レンズは無限に近い種類が存在しています。
M42マウントとの互換性を重視、拡張性も充分
さて、そんなペンタックスKマウントは、M42マウントからの移行にあたり、互換性にも充分に配慮していました。
それを象徴しているのが、マウントのフランジバック(フィルム面からマウント面までの長さ)。
Kマウントのフランジバック45.5mm。
そしてM42マウントも45.5mm。
そう、KマウントはM42マウントと同一のフランジバックを採用しているのです。
そのことを活かしてペンタックスが販売したアクセサリーが、「マウントアダプターK」。
マウントアダプターK(右下)とM42レンズ
これはKマウントをM42マウントに変換するアクセサリーなのですが、装着すると、アダプターがマウントの内側に1段凹んですっぽりと入る形になります。
そして、装着時にはレンズの外周部はKマウントの表面で止まる形となるのです。
これにより、フランジバックの精度はカメラ本体が担う形となります。
アダプター本体の精度はアバウトでよいため、マウントアダプターを簡易に製造することが可能となりました。
自動絞りこそ動作しませんが、ペンタックスはマウント移行時に、M42レンズ保有者にも充分配慮したといえるでしょう。
CanonがEFマウント移行時にFDマウントとの互換性を一切考慮しなかったのとは対照的です。
マウントアダプターKは2007年に値上げされるまで、なんと1,050円で販売されていました。
このような低価格が実現できたのも、マウントアダプター本体が精度を担当していないからこそのことだったのです。
このような設計のため、ペンタックスKマウントのカメラはM42マウントのレンズを使うのにも最適です。
当サイトではM42マウントのオールドレンズについても解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
マウントアダプターKの互換品もおすすめ
以前のように純正品が安価で手に入る状況ではなくなってしまいましたが、構造がシンプルなため、マウントアダプターKの互換品も販売されています。
KマウントボディでM42マウントレンズを使用するなら、そういった製品もおすすめです。
Kマウントの種類
さて、そんなKマウントにはいくつかの種類が存在しています。
AEとAFへの対応のため機能に違いがありますが、基本的に互換性があります。
デジタル用の絞り環のないレンズを除き、古いレンズを新しいボディで、新しいレンズを古いボディに取り付けることが無制限で可能です。
Kマウント
Kマウント:ペンタックスLX
1975年、まず最初に制定されたのがKマウント。
前述したとおり、ペンタックス以外のメーカーも使用できるユニバーサルマウントです。
開放測光と絞り優先AEに対応。
数多くのメーカーの中古レンズが存在しています。
KAマウント
KAマウント:ペンタックスSuper A
1983年、ペンタックスSuper Aの発売と同時に採用されたマウントです。
マウントに電子接点を追加。
シャッター優先AEとプログラムAEに対応しました。
残念ながら、最初のKマウントとは異なり、このKAマウントではペンタックスは電子接点の仕様を公開しなかったため、これ以降の拡張Kマウントはユニバーサルマウントとは呼べなくなってしまいました。
設計上・外観上の特徴としては、電子接点がマウント面にあることが挙げられます。
他社の電子マウントでは電子接点はマウント内に設けられることが普通ですが、KAマウント以降のペンタックスKマウントでは、マウントに穴を空け、そこに電子接点を設けているのです。
KAFマウント
1987年、ペンタックス初のAF一眼レフであるペンタックスSFXの発売と同時に採用されたマウントです。
名前の通り、オートフォーカスに対応。
ペンタックスはボディ内駆動のAFを採用したため、マウント面にAF連動用のカプラが追加されました。
KAF2マウント
KAF2マウント:ペンタックスZ-1P
1991年、ペンタックスZシリーズの登場とともにマイナーチェンジされたマウントです。
マウント内に電子接点を追加。
モーターでズームを駆動する「パワーズーム」が可能となりました。
↑マウント内右下の金色の接点が追加されたもの
↑パワーズーム可能なレンズの例(SMC PENTAX-FA 28-105mm F4-5.6) 側面に切り替えスイッチがある
この電子接点はデジタル化以降、レンズ内モーター駆動によるAF用の電子接点として流用されています。
フィルムカメラ時代のKマウントの改良はここまでとなりますが、以降もデジタル一眼レフ用にKマウントは改良が加えられています。
KAF3マウント
KAF2マウントから、ボディ内駆動AFのカプラを除いたもの。
レンズ内モーターのAFレンズのみ対応となりました。
KAF4マウント
KAF3マウントから機械的な絞り込み機構を除き、絞りを電磁式動作に限定したマウントです。
ボディ側はそれ以前のレンズに対応していますが、このマウントを採用したレンズは絞りが動作しないため、それ以前のボディでは使用できなくなってしまいました。
他メーカーによる拡張マウント
KAマウントの節で紹介したとおり、ペンタックスKマウントは途中で仕様が公開されなくなってしまいました。
それに伴い、AEやAFを実現するために、他メーカーが独自に拡張したマウントが存在します。
リコー独自拡張マウント(RKマウント)
ペンタックスに次ぐKマウント採用メーカーの代表、リコーが独自拡張したマウントです。
マウント面に電子接点を1つ追加し、プログラムAEを実現しています。
↑リコー独自拡張Kマウントのレンズの例(RIKENON P 35-70mm F3.4-4.5)マウント側(画像では下部)に金色の電子接点がある
ペンタックスKAマウントのプログラムAEと互換性はまったくありませんが、取り付け自体は可能です。
なお、レンズメーカー製のKマウントレンズの一部には、PENTAX KAマウントとリコー独自拡張の両対応のものもあります。
チノン独自拡張マウント
チノンCP-9AFのみで採用された、チノン独自拡張によるマウントです。
チノン唯一のAF一眼レフCP-9AFのためだけに開発され、オートフォーカスを実現。
マウント内上部、スクリーンの前にCanon EFマウントのような電子接点を追加。
マウント面にはペンタックスKAマウントと互換性のあるプログラムAE用の電子接点があります。
CP-9AFはレンズ内駆動AFのため、AF駆動カプラはありません。
ペンタックスKマウントレンズの基礎知識
さて、そんなKマウントを制定したペンタックスのレンズには、いくつかのシリーズが存在しています。
ここでは主に、中古レンズで楽しみたいフィルム時代のレンズを中心に紹介します。
なお、各シリーズに共通する「SMC PENTAX」という表記は、カメラファンの間では「SMCP」と略されることがあります。
SMC PENTAX シリーズ
初代 SMC PENTAX 50mm F1.4
1975年、ペンタックスKマウントの制定とともに発売されたレンズ。
初代ながら1年ほどしか続かなった短命のシリーズです。
他と違って特別な名称がついていないため、カメラファンの間では「Kシリーズ」「Pシリーズ」とも呼ばれています。
特徴は、それまでのM42マウントのペンタックス・タクマーレンズよりも全体的に大型化していることです。
タクマーレンズは基本的にフィルター径が49mmでしたが、このSMC PENTAXシリーズでは52mmに大型化。
しかしながら、それまでのM42マウントのカメラよりも大型化したことへの評価が芳しくなかったため、次のMシリーズでは再び小型軽量というコンセプトに立ち戻ることとなります。
SMC PENTAX-Mシリーズ
SMC PENTAX-M 50mm F1.4
1976年、MXやMEといったペンタックスMシリーズのフィルム一眼レフに合わせて送り出されたシリーズ。
特徴は小型・軽量であるということ。
Mシリーズのカメラボディと併せて、ペンタックス本来の売りである小型・軽量に立ち戻りました。
フィルター径は49mm。
中古市場でも比較的見つけやすいシリーズです。
SMC PENTAX-Aシリーズ
SMC PENTAX-A 50mm F1.4
1983年、ペンタックスSuper Aの発売に合わせ登場したシリーズ。
マウントをKAマウントに変更。
プログラムAEとシャッター優先AEに対応しました。
レンズのデザインも大きく変更され、それまでフィルター枠内にあった銘板表記が、斜めにカットされたフィルター枠外に移されました。
SMC PENTAX-Fシリーズ
SMC PENTAX-F 50mm F1.4
1987年、ペンタックスSFXと同時に登場したオートフォーカス対応のシリーズです。
マウントはKAFマウント。
それまでのKマウントレンズから大きく外観が変化し、グレー基調の、1980年代を象徴するようなデザインとなりました。
ズームレンズを中心に、サイズも比較的大型となりました。
SMC PENTAX-FAシリーズ
SMC PENTAX-FA 50mm F1.7
1991年のZシリーズ登場に伴い登場したシリーズ。
マウントはKAF2マウントです。
見た目はSMC PENTAX-Fシリーズに比べて落ち着いた印象となりました。
外装色は濃いグレーです。
製造時期が長く、初期のレンズには大型のものが多かったものの、途中で小型・軽量のMZシリーズに移行したことにより、全体的にラインナップも小型化されました。
後述しますが、31mm・43mm・77mmのLimitedレンズもこのシリーズの一員となります。
SMC PENTAX-FA Jシリーズ
2003年、ペンタックス*istと同時に登場。
絞りリングを省略したため、互換性が大きく低下しています。
PENTAX DAシリーズ
APSサイズのデジタル一眼レフ専用レンズです。
基本的にフィルムカメラには使用できません。
それまでのSMCコーティングに加えDAコーティングが加わったため、レンズ名もSMC PENTAXからDA PENTAXへ移行しました。
PENTAX D FAシリーズ
フルサイズ判をカバーしたデジタル対応レンズです。
一部マクロレンズを除き絞りリングはありません。
★レンズ(スターレンズ)とは
スターレンズの例:SMC PENTAX-FA★ 24mm F2 AL[IF]
ペンタックスのKマウント用レンズ製品の中には、レンズ名に「★」が入ったものが存在します。
これは、プロの使用を前提とした高性能レンズを識別するためのもの。
「スターレンズ」とも呼称されています。
大口径かつ高性能の光学系を採用しており、他のペンタックスレンズよりも頭ひとつ抜けた描写が味わえます。
Limitedレンズとは
Limitedレンズとは、性能と外装の質感、双方にこだわったペンタックスKマウントレンズのこと。
外装はアルミ削り出し。
光学系も独自の高性能のものを新規設計しており、単なる性能だけでなく、レンズの「味」や質感も重視した絵作りが特徴となっています。
また、レンズ装着位置を表すフィンガーポイントには七宝焼が使われているのもポイントです。
Limitedレンズにはフィルム時代のものとデジタル時代のものが存在しますが、中古レンズを楽しむなら、なんといっても初代Limitedレンズの、31mm・43mm・77mm三兄弟を外すことはできないでしょう。
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ペンタックスKマウント中古レンズの使い方
そんなペンタックスKマウントの中古レンズは、どうやって使うのがおすすめなのでしょうか。
使い方を解説します。
Kマウントのフィルム一眼レフで使う
まず、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフとして最もおすすめするのが、ペンタックスKマウントのフィルムカメラで使うということです。
ペンタックスには、LXやMX、MZ-3をはじめとして、フィルムカメラの名機がいくつも存在します。
また、コシナやリコーといった他メーカーのカメラボディと相互に組み替えて使用できるのも、ユニバーサルマウントのKマウントならではです。
Kマウントのレンズはフィルム・デジタル相互で使うことができるので、ペンタックスのデジタル一眼レフを使っている方は、フィルムとデジタルの両方を同じレンズで楽しむことができますよ。
ぜひあなたも、Kマウントのカメラでフィルムカメラに入門してみませんか?
おすすめのKマウントフィルムカメラ ペンタックスLX
もしフィルムでペンタックスのカメラを楽しむなら。
ペンタ党の筆者としては、ペンタックスLXをもっともおすすめします。
ペンタックスLXは、ペンタックスフィルムカメラ唯一の、ほんとうの意味での「フラッグシップ機」。
ニコンF3やキヤノンF-1と同じ土俵で勝負を挑んだ、1980年代を代表する名機なのです。
ペンタックスのカメラのなかでも最高の操作感を誇るLX。
詳しくは以下の記事で紹介しているので参考にしてみてください!
Kマウントの一眼レフで使う
ペンタックスKマウントのデジタル一眼レフで使うのももちろんおすすめです。
ペンタックスもフルサイズ一眼レフのK-1を発売したため、中古オールドレンズの性能をフルに引き出すことが可能となりました。
また、APSサイズのデジタル一眼レフも基本的には古いKマウント中古レンズと互換性があるので、装着して撮影することができますよ。
装着時にはカメラ本体のファンクションで、「絞りリングの使用」をオンにすることを忘れないようにしましょう。
マウントアダプターでの使用も容易
いっぽう、ソニーα7シリーズやα9シリーズをはじめ、ミラーレス一眼でのマウントアダプターを介した使用も容易です。
その理由が、ペンタックスKマウントのレンズは、外したときに絞りが絞り込み方向に動作する設計となっているため。
特別な機構なしに、マウントアダプターを介して取り付けるだけで、実絞りでの使用が可能となるのです。
機構的に単純なため、マウントアダプターも安価に購入可能です。
オールドレンズの使い方は、以下の記事で解説しています。
Kマウントも使い方は他のオールドレンズと同じなので、ぜひ参考にしてください。
ペンタックスの中古レンズで名玉を楽しんでみませんか?
このように、ペンタックスの中古レンズには非常に多くの名玉が存在しています。
今回は「名玉」という切り口でレンズを紹介したためペンタックス純正が多くなりましたが、ユニバーサルマウントのKマウントだけあって、「おそらくコシナOEMだと思われるがどこ製かわからないレンズ」「中国メーカー製Kマウントレンズ」「ロシアレンズ」など、怪しいレンズ、迷玉まで、数え切れないほどのレンズを楽しむことができますよ。
ニコン党の方にもキヤノン党の方にも、ぜひ味わってもらいたい深遠なる世界。
それこそが、ペンタックスKマウントの魅力なのです。
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更新履歴
2022年8月26日
SMC PENTAX-M 100mm F2.8をSMC PENTAX 150mm F4に差し替え
Mシリーズ、Fシリーズなどのレンズ名にハイフンを追加
KAF2マウント、リコー独自拡張マウントの解説画像を追加
その他、画像を追加、差し替え
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