Konica Hexar RF(コニカ・ヘキサー)/ コニカが生んだ全自動レンジファインダーカメラ
この記事では、Konica Hexar RF(コニカ ヘキサーRF)について解説します。
ヘキサーRFは、1999年にコニカが発売した、ライカMマウント互換のVMマウントを搭載したレンジファインダーカメラです。
1990年代、中古フィルムカメラ愛好家の間で沸き起こったレンジファインダーカメラブームが生んだこの機種は、M型ライカを強く意識していながら、中身はフィルムカメラ最末期ならではの電子カメラ。
まだまだ中古で現役で使える機種です。
他に例を見ない全自動のレンジファインダーカメラには、いったいどんな特徴があるのでしょうか?
Konica Hexar RF(コニカ ヘキサーRF)
まずは性能・スペックと特徴から見ていきましょう。
Konica Hexar RFの性能・スペック
形式 | 35mm レンズ交換式レンジファインダーカメラ |
シャッター | B、1秒~1/4000秒(マニュアル時) 16秒〜1/4000秒(AE時) 電子式 縦走り金属幕フォーカルプレーンシャッター ストロボ同調速度1/125秒 |
露出計 | TTL実絞り測光 中央重点測光 |
露出 | 絞り優先AE マニュアル |
ファインダー | 一眼式レンジファインダー 0.6倍 ファインダー枠 28mm/90mm・35mm/135mm・50mm/90mm パララックス自動補正 |
レンズマウント | KMマウント (ライカMマウント互換) |
対応レンズ | 各種M・L39マウントレンズ |
電池 | CR2リチウム電池 x2 |
発売年 | 1999年 |
Konica Hexar RF(コニカ ヘキサーRF)は、コニカが1999年に発売したレンジファインダーカメラ。
そもそもこのフィルムカメラの源流となった機種としては、高級コンパクトカメラのKonica Hexar(コニカ ヘキサー)がありました。
しかし、Konica Hexarは完成度の高い機種ではあるもののレンズは固定式。
レンズ交換ができるヘキサーが、ユーザーから待ち望まれていたのでした。
そんな期待にコニカは応えます。
ライカMマウント互換のコニカKMマウント搭載。
ヘキサーRFの登場です。
1999年、レンジファインダーカメラ新時代
1999年は、フィルムのレンジファインダーカメラに新たな風が吹き込まれた年でした。
ひとつは、このKonica Hexar RF。
後述するように、全自動のフィルムカメラです。
いっぽうもうひとつは、Voigtlander BESSA。
こちらは(後年AEモデルも投入されますが)手動巻き上げのクラシカルなモデルでした。
フィルムカメラ最末期の、爛熟した自動化技術を惜しみなく注ぎ込んだHexar RF。
いっぽう、枯れた技術の水平思考で実用レンジファインダーカメラを生み出したVoigtlander(コシナ)。
対称的なこの2機種が生を受けたのは、1990年代に中古レンジファインダーカメラのブームがあったからにほかなりません。
中古のライカが高値に次ぐ高値で取引され、レンジファインダー用中古レンズも高値で取引される。
そんな時代を受けて、高級品になりすぎたライカよりも実用に向いているレンジファインダーカメラが望まれたのです。
全自動化された夢のレンジファインダーカメラ
コニカは「夢のレンジファインダーカメラ」で期待に応えました。
Konica Hexar RFは、全自動化されたレンジファインダーカメラ。
まず、巻き上げ・巻き戻しは全自動。
当然DXコード対応で、フィルム感度設定は不要。
レンズマウントはライカMマウントに完全互換のコニカKMマウントで、当然、L-Mアダプターを使うことでライカLマウントレンズも自在に使えます。
露出モードは絞り優先AEを搭載。
当時ライカはまだライカM7を発売していなかったので、絞り優先が使えるレンジファインダー機は、他にはミノルタCLEがあるのみでした。
というよりも、そもそも1990年代には露出計が使えるレンズ交換式レンジファインダーカメラ自体、ライカM5とライカM6、ライツミノルタCL、ミノルタCLEしかなかったのです。
まさに、中古レンジファインダーカメラを使っていたユーザーにとって福音そのものでした。
レンジファインダーのフィルムカメラ最速 1/4000秒シャッター
特筆すべきはシャッター。
最高速は1/4000秒なのです。
同時代の一眼レフカメラに比べると平凡なのですが、レンジファインダーカメラとしては唯一無二。
デジタルのM型ライカは別として、1/4000秒が使えるフィルムのレンジファインダーカメラは他にありません。
M型ライカを強く意識した外装
また、Konica Hexar RF(コニカ ヘキサーRF)のファインダーは、じつはM型ライカを非常に強く意識しています。
それがファインダー窓の配置。
正面から見ると、右から
・フレーミング窓
・採光窓
・距離計窓
と並んでいますが、それぞれの寸法・配置がM型ライカと同じなのです。
いわゆる眼鏡つきのレンズを付けても場所がぴったり一致します。
ファインダー自体には、28mmから135mmまで各種フレームを内蔵。
ファインダー倍率は低めで、レンジファインダーカメラならではの広角レンズに強みを持つ仕様となっています。
端正な佇まいの外装はチタン製。
電子カメラといいますが、しっかりとした機械のオーラが漂う好デザインです。
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コニカKMマウントのレンズたち
さて、そんなMマント最強カメラのRFは、単に他社レンズを使うためだけに世に出たのではありません。
KonicaはHexar RFに合わせて新しいMマウント互換レンズを数本リリースしています。
他のMマウント互換カメラにも装着できますが、やはりこのHexar RFに取り付けるのが一番似合うといえるでしょう。
M-Hexanon 50mm F2
1999年発売。
開放値F2と欲張らない、オールマイティな標準レンズです。
5群6枚のガウスタイプ。
M-Hexanon 28mm F2.8
1999年発売。
7群8枚。
ライカのエルマリート28mmに匹敵する、非常に定評のある広角レンズ。
レトロフォーカスタイプを元に対称型に近づけた構成もエルマリートと似ています。
M-Hexanon 35mm F2
1999年発売。
標準レンズ的に使える明るい広角。
7群8枚。
高級コンパクトカメラのHexarに搭載されたレンズと焦点距離・F値は同じですが、まったくの新規設計。
Hexarのレンズはクセノタール型ですが、こちらはレトロフォーカスを元に対称型に寄せた独自の設計です。
M-Hexanon 90mm F2.8
1999年発売。
4群5枚。
エルノスタータイプのコンパクトな中望遠です。
M-Hexanon 50mm F1.2
2001年発売の限定品。
後述する限定版とセットで、2001本のみ販売されました。
6群7枚のガウスタイプ。
M-Hexanon DUAL LENS
21mm F3.4と35mm F4の2焦点レンズ。
2焦点の交換レンズは国産品としてはほかにもサンの28mm-35mmなどがありますが、非常に珍しい形式の交換レンズであることは間違いありません。
2002年。
専用のファインダーとセットで600本限定。
おすすめ記事
国産ライカレンズについてはこちらもご覧ください。
Hexar RFの限定モデル
Konica Hexar RFには限定モデルが1種類存在します。
中古ではコレクターズアイテムの色が強いですが、通常モデルと異なるラグジュアリーな外観は魅力的といえるでしょう。
Hexar RF Limited
2001年に2001台限定で発売されたモデル。
前述の通りM-Hexanon 50mm F1.2とセットになっています。
最大の違いが外装色。
シャンパンゴールドのチタンカラーとなっており、Limitedの刻印も施されています。
コニカの落日とヘキサーRF
コニカは2003年のミノルタとの経営統合後もヘキサーRFの生産を続けました。
基本的にはコニカミノルタブランドとなったコニカ製品ですが、Hexar RFはコニカブランドのまま販売を継続。
2005年、生産終了と同時にコニカブランドのカメラの火は消えました。
全自動化されたレンジファインダーカメラという夢。
コニカの技術陣も楽しんで作っていそうな、そんな真面目なつくりを感じるフィルムカメラが、Hexar RFなのでした。
これから中古で手に入れれば、古今東西のライカL39マウントやライカMマウントレンズが使用可能。
もちろん、LマウントのHexanonやHexarレンズもマウントアダプターを介して装着できます。
コニカの名玉をフィルムで楽しむのも乙なものです。
マウントアダプターでオールドレンズを使っている方も、ぜひフィルムで楽しんでみませんか?
Konica Hexar RF(コニカ ヘキサーRF)なら、ミラーレス一眼同様、絞り優先AEで手軽に使用可能。
じつはM型ライカ以上に、レンジファインダーカメラをフィルムで楽しむ最高の選択肢といえるかもしれません!
コニカミノルタ テクノロジーレポートより それぞれ2018年12月2日閲覧
M-Hexanonレンズの開発
M-HEXANON 35㎜ F2.0 の開発
M-Hexanon 50mm F1.2の開発
M-Hexanon DUAL LENSの開発
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更新履歴
2020年10月13日
下記文章を修正、リンク切れを修正しました。
>というよりも、そもそも1990年代には露出計が使えるレンズ交換式レンジファインダーカメラ自体、ライカM5とライツミノルタCL、ミノルタCLEしかなかったのです。
↓
というよりも、そもそも1990年代には露出計が使えるレンズ交換式レンジファインダーカメラ自体、ライカM5とライカM6ライツミノルタCL、ミノルタCLEしかなかったのです。
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