Leica(ライカ)M3/カメラファンならぜひ手に入れたいライカの真髄
1954年に生を受けたライカM3。
まさに35mmフィルムカメラの真髄ともいえる、数え切れない伝説を持ったカメラです。
まさに世界一のフィルムカメラ、中古カメラの王様です。
現代の技術でも再現できないといわれるファインダー。
耳に心地よく響くシャッター音。
レンジファインダーカメラの極致にして完成形。
ライカM3に並び立つカメラは存在しないといっても過言ではありません。
そして、そんなライカM3が、いまなら中古で誰にでも手の届く価格で手に入るようになりつつあるのです。
カメラファンなら一度は手元に置きたいライカM3。
中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが、その伝説の一端について紹介します。
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ライカM3については、こちらの新しい記事でより詳しく解説しています。
ぜひ併せてご覧ください。
目次
ライカM3
ライカの代表、レンジファインダーの代表、そしてカメラの代表。
中古カメラのなかでももっとも価値あるものとされているひとつ。
世界中のカメラのなかから1つだけを選ぶとしたら、ライカM3こそが最高のカメラであることに、多くの人が同意することでしょう。
それくらいに魅力と伝説に満ち溢れたカメラ、それがライカM3です。
レンジファインダーの完成形
1954年。
ドイツのカメラ見本市、フォトキナで、世界中のカメラメーカーが驚愕するカメラが発表されました。
それがライカM3。
当時35mmフィルムカメラの主流を占めていたのが、当のライカが元祖となったレンズ交換式のレンジファインダーカメラです。
とくに当時、NikonやCanonを代表とする日本のカメラメーカーは、ライカに追いつけ、追い越せをスローガンに、カメラの開発を進めてきました。
ところが、それまでのレンズ交換式レンジファインダーカメラをすべての面で凌駕したカメラ、ライカM3の登場によって、一気にドイツのカメラに引き離されることとなってしまったのです。
例えばNikonが当時開発中のNikon S2の発売を延期し、急遽ライカと同様のレバー巻き上げを搭載して発売した、というのは有名な話です。
ライカM3の特徴・スペック
形式 | 機械式レンジファインダーカメラ |
シャッター速度 | B、1秒〜1/1000秒 機械式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター |
露出計 | なし |
ファインダー倍率 | 0.91倍 |
ファインダー枠 | 50mm、90mm、135mm |
レンズマウント | ライカMマウント |
巻き上げ | レバー式、2ストローク・1ストローク |
巻き戻し | ノブ式 |
製造年 | 1957〜1966年 |
ライカM3の特徴と、それまでのレンジファインダーと大きく異なっていた点は多岐にわたります。
現在から見ると当たり前となっている機能にも、このライカM3が元祖となっているものがいくつもあるのです。
まず、一眼式のレンジファインダー。
バルナックライカを元にしたそれまでのレンジファインダーカメラでは、距離計とフレーミングでは別々のファインダーを使っていました。
それを1つのファインダーにまとめ、より軽快な使用を実現したのです。
ファインダーには採光式のブライトフレーム(撮影範囲を示す枠)が採用され、50mm、90mm、135mmが自動で切り替わります。
さらにパララックス(ファインダーとレンズの位置の違いによる視差)も自動で補正されるようになっています。
そして、フィルムのレバー巻き上げ。
それまでの35mmフィルムカメラでは、丸いノブを回すことによりフィルムを巻き上げていました。
ところがライカM3では巻き上げレバーを導入することで、より迅速に次の撮影に入ることが可能となりました。
※ただしこの方式は、コダックのレチナなどすでに他社のカメラで採用されていたものです。
シャッター速度はB、1秒〜1/1000秒。
それまで高速側はボディ上面に、低速側はボディ前面にあったシャッターダイヤルはボディ上面に統一されました。
さらに、それまでのレンジファインダーカメラではシャッターを切ると回転していたシャッターダイヤルも、回転しないようになりました。
それ以降のカメラでは当たり前になる、一軸不回転ダイヤルです。
バルナックライカでは底蓋を開けて行っていたフィルム装填も、裏蓋を上に跳ね上げる機構で簡便になりました。
そしてマウントも、それまでのL39スクリューマウント(ねじマウント)から、現在もライカのデジタルカメラで使用されている、バヨネット式のMマウントに変更されました。
とはいえ、これらはスペック上の特長に過ぎません。
現在でもライカM3が中古で価値あるものとされ、伝説であり続けているのは、完璧な機構と品質と仕上げを兼ね備えているからでもあるのです。
マウントアダプターでL39マウントのレンズも使用可能
なおライカM3登場時から純正でマウントアダプター(L-Mリング)が用意され、それまでのL39マウントレンズも問題なく使用できました。
L-Mリングは純正のほか、各社から互換品が出ています。
※L-Mアダプターは使用するレンズの焦点距離に対応したものを購入してください。リンク先で選択が可能です。他に並ぶもののないファインダー
ライカM3のファインダーは、数あるM型ライカの中でも最も上質なもの。
現在では失われてしまったという機械加工技術と、コストを度外視した多数の機能部品によって、ライカM3でしか味わえない感覚を実現しています。
しかも50mm標準レンズの使用を前提としているため、人間の視覚とほぼ同じ遠近感・倍率の設計となっています。
ある人はブライトフレームを評して、撮影している空間の中にフレームがぴったりと貼り付いているようだ、と表現しました。
その言葉の意味を理解するには、右目でファインダーを覗いて、左目も開けたままにして撮影してみるとよいでしょう。
現実の空間のなかに撮影範囲のブライトフレームが直接浮かび上がっているような感覚を味わえること間違いありません。
しかも以降のM型ライカ、M2やM4などではコストダウンと広角レンズ対応のため、構造が変更されてしまいました。
間違いなく感動するであろう最高のファインダーは、ライカM3でしか味わえなくなってしまったのです。
ただファインダーを覗くだけでも感動できるカメラ、それがライカM3。
ファインダーを体験するだけでも手に入れる価値はあります。
ただし、その代償として衝撃に弱いものとなってしまったため、中古を購入して扱うときには注意が必要です。
最悪の場合、ブラックアウトと呼ばれる、ファインダーが真っ黒になる症状に至ることも。
ライカは中古でもオーバーホールが可能ですが、重故障の場合かなり高額な料金がかかることも多いです。
静謐なシャッター動作音
ファインダーだけに留まらず、ライカM3の工業製品としてのレベルは、オーパーツといっても過言ではないくらいの完璧なもの。
完全な精度で組み上げられているため、各部を操作した際の動作音も非常に静かです。
よく調整されたライカM3は、シャッターを切ったときに周囲から気づかれないほどの小さな音しかしないといわれます。
「コトッ」とも「クシュ」とも形容されるライカM3だけのシャッター音は、何度でも空シャッターを切りたくなるほど気持ちがよいもの。
ドイツの工業製品のレベル、そしてライカの設計の完璧さを、存分に味わうことが可能です。
中古でライカM3を探すとき、もしもいくつかの中古の個体を比較できるなら、シャッター音が気に入ったものを選ぶとよいですね。
ライカM3を中古で買うなら
では、そんなライカM3を中古で買うならどうするのがおすすめなのでしょうか?
すべての中古カメラファンの憧れ、そして、フィルムカメラが好きなのにライカM3を触ったことがないのはモグリと呼ばれる程のカメラ。
それだけに、中古のライカM3の買い方には、愛好家それぞれ一家言あるようです。
とはいえ、ライカM3は価値あるカメラのため、中古店ではしっかりと整備されて販売されていることが多いです。
そのため、シャッターの動作やファインダーの状態など、基本的な部分は問題のない中古が多いでしょう。
高価な買い物のため、保証が付いている中古を選ぶ、それが第一です。
さて、そうなると注目すべきなのが、単にメンテナンスではどうにもならない部分です。
具体的には各部のキズやグッタペルカの剥がれなど。
また、ストラップアイレットが単にカシメられているだけのため、緩んでいないか、斜めになっていないかもチェックするとよいでしょう。
高価な中古カメラのため、もしも落としてしまったら目も当てられません。
外観が多少くたびれていれば、いまではM3は中古価格もこなれてきています。
もし手軽にライカM3を手に入れるとしたら、見た目より内部の状態を重視するとよいでしょう。
ライカM3について詳しくはこちら
ライカM3の作例紹介記事
こちらの記事では、ライカM3とズミクロン5cm F2の作例をご紹介しています。
ぜひご覧ください。
[オールドレンズ撮り比べ16] Leica (ライカ) Summicron 5cm F2とLeica(ライカ) M3の実力はすさまじかった
Leica M3(ライカM3)で使いたいおすすめ用品
露出計のないフィルムカメラの使用にあたっては、アクセサリーシューに取り付けられる露出計を使用するのがおすすめです。 中国製の小型クリップオン露出計としては以下のものが。語り尽くせぬカメラの極致 ライカM3
これらの特徴はライカM3の魅力の一端でしかありません。
言葉ではライカM3のファインダーもシャッターも、そのなめらかな操作感も伝えきることはできないのです。
だからこそ、実際にライカM3を手に入れたいとすべてのカメラファンは願っています。
いまなら以前よりずっと安価に中古で手に入るようになったライカM3。
ぜひあなたも、ライカM3を実際に体感してみませんか?
まずは実際に、中古のライカM3を触ってみましょう。
ライカに魅せられること間違いなしです。
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更新履歴
2021年3月29日
以下の参考文献をもとに、誤った記述がないかチェック
- 『カメラレビュー クラシック専科No.28 M型ライカ図鑑』(1995年 朝日ソノラマ)
- 中村信一 『新M型ライカのすべて』(1996年 朝日ソノラマ)
レバー巻き上げについての記述に、M型ライカが初出ではないことを明記
2022年8月2日
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