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【オールドレンズ探訪記】MC Jupiter-9 85mm F2(Jupiter-9)は好みが分かれそうな癖の強さのあるレンズ (作例・撮影Tipsあり)

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)

 

こんにちは、雨樹一期(あまきいちご)です。今回は、個人的にずっと使ってみたかった旧ソ連製オールドレンズ(ロシアレンズと俗称されるレンズ)、MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)をミラーレス一眼カメラに取り付けて撮影した作例をご紹介します。
もちろん、全てのオールドレンズを使いたいんですが、なかでもこれは僕好みだろうと、前々から思っていました

焦点距離が85mmなのでポートレートに最適。仕事のペット・家族撮影でも使えそう。
手頃な価格の85mmを探している方の参考にもなれば幸いです。

【オールドレンズ探訪記 前回の記事】

【オールドレンズ探訪記】Helios-44-2 58mm F2はオールドレンズらしさを堪能できるレンズ(作例・撮影Tipsあり)

フィルムカメラもデジカメ・レンズも最高値の買取を約束します!

MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)について

はじめに、今回作例をお届けするMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の簡単な紹介を。

MC Jupiter-9 85mm F2

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)

 

MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)はCael Zeiss(カール・ツァイス)のSonnar(ゾナー)のコピー品です。MCというのはマルチコーティングのこと。逆光耐性などがあるレンズということですね。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)

 

マウントはM42。オールドレンズでも価格が安く人気の高い、「Super takumar 55mm f1.8」や前回ご紹介した「Helios-44-2 58mm F2」と同じマウントアダプターを使用できます。
スーパータクマーもヘリオスも僕はお気に入りで、それぞれ個性的。そこに同じマウントアダプターで85mmなら、こりゃ持っていても損はない。ミラーレス一眼カメラ用のM42マウントアダプターは価格も高くないのでつけっぱなしでもいいですね。

先に言っちゃうのですが、いい感じのコピー品だなと思っています。ゾナーは125mmを使ったことがありますが、とても優秀なレンズ。
それをたぶん完コピできてない感じが僕好みです(笑)。

今回使用したマウントアダプターはKIPONブランドですが、通販サイトに見当たらないのでK&F Conceptブランドのものを貼っておきます。
こちらも十分な品質でおすすめです。

それでは続いて作例です。

 

MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例紹介

それでは、MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)をミラーレス一眼カメラに取り付けて撮影した作例を見ていきましょう。
ミラーレス一眼カメラのボディは、中古価格が廉価で手頃なSONY α7を使用しています。

MC Jupiter-9 85mm F2は緩やかなボケを楽しめるレンズ

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)

 

開放での作例です。
ボケ味はやっぱりボケボケ。前ボケから後ろボケまで、緩やかなボケ。
ボケを連発していますが、MC Jupiter-9 85mm F2の開放値は明るいF2ですからね。それを楽しむ為のレンズでもあります。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

作例の撮影中は発色はやや薄めかなーと思っていましたが、そこまで悪くはなかったです。
でも、コントラストはやや弱め。それもポートレート向きと言えばそうですが、求めるものって人それぞれですよね。

オールドレンズの描写が好きならいいですが、デジタルのレンズオンリーで撮影している方からすると、少し物足りないかもしれません。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

MC Jupiter-9 85mm F2の描写は、明瞭度が低いので、ジャスピンでもやや甘く感じます。

ここは好みが分かれそうな部分。

レンズフレアを楽しむ

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

こちらの作例、左のブランコの横に虹色のゴーストが出ますが、「Super Takumar 55mm F1.8」などに比べたら少し出にくいです。
ミラーレス一眼カメラのファインダーでは見えてるけど、撮影した後に液晶で見ると消えてたりしました。

ミラーレス一眼カメラでは、液晶でゴーストが確認できる場合も多いのですが、このレンズでは数を撮って結果を見るのもよいかもしれません。

マルチコーティングだからなのかな。

 

 

 

今回の作例撮影ではレンズフードなどをあえて付けていないので、フレアは盛大ですね。
降り注ぐようなゴーストもいい感じ。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

この作例では、虹色のゴーストの内側と外側で色味がかなり落ちているのが分かると思います。
あれ?マルチコーティングはどこへやら?
MC Jupiter-9 85mm F2、なかなかのくせ者レンズですね。

 

焦点距離85mmというと中望遠レンズになりますが、望遠レンズならではの背景の圧縮も楽しめます。
やっぱり全体がふわっとしていますね。

優しい描写。立体感は出しにくいかも

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

ボケるから立体感はあるんですが、「このレンズはそこが一番いい!」ということもないです。
むしろ、MC Jupiter-9 85mm F2は画像の滲みや低コントラストといった特徴があるので、立体感は出しにくいんですよね。黒が優しいというのかな。

ミラーレス一眼カメラの拡大機能を使ってピント合わせするのがいいかと。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

雰囲気を出したくて、ちょっとレタッチで調整したくなります。だけど、なぜかレタッチがしにくい。
冬の撮影なので、色が沈んでるというのもありそーですが。

また春に使ってみたいオールドレンズだなと感じました。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

ごまかしの効かない、撮影技術が露骨に出るレンズ

とにかく、専門的な言い方すると、階調(明るい部分から暗い部分の段階)が滑らかなんですよね。よく言えば嫌味がない写真。悪く言えば上記のように眠たい写真になりがち。

ごまかしが効かないんですよね。
そこを上手く表現できれば良き相棒になります。スキルアップにもなりそうなオールドレンズです。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

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撮影Tips「玉ボケを出して撮影しよう」

続いては、MC Jupiter-9 85mm F2の作例を見ながら玉ボケの出し方をご紹介します。

美しい玉ボケ

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

MC Jupiter-9 85mm F2の特徴は明瞭度の低さや滑らかな階調。ポートレートを撮るなら持っておきたいオールドレンズ。がっちり系ではなく、ふんわり緩い系。
そんななかで僕が驚いたのは玉ボケですね。上記の作例、レモン型にならずに、なかなかの丸さを維持していますね。

虹色ゴーストもしっかり入っています。他のオールドレンズと比べても、キレイな玉ボケですね。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

この作例だと玉ボケが出すぎていますが、写真の端までできるだけ丸く保とうと粘っています

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

モノクロの作例の方が分かりやすいかな。

玉ボケの簡単な出し方

玉ボケの簡単な出し方は、絞りを開放にして、背景に木を写すこと。順光ではなく、木の向こうに光がある状態ですね。木の真後ろに太陽がある必要もありません。光が漏れていれば、がっつり玉ボケになります。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

このようにある程度、木が生い茂っていたらオッケーです。この作例では木にピントを合わせていますが、手前の被写体にピントを合わせれば、木の隙間からの光が以下のように玉ボケになります。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

どれだけ玉ボケを出したいかで、背景を先に選ぶのもポイント。絞りは開放です。

冬はイルミネーションなどの光を使うのもいいですね。

ミラーレス一眼カメラのファインダーや液晶で確認しながら撮影してみましょう。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

やや使いづらさはあったのですが、この作例の玉ボケを見て、僕の中で評価がグンとあがりました。

 

MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)を使用してみた感想

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)

 

あー、また欲しいオールドレンズが増えてしまった。名玉と呼ばれる、今でも通用するオールドレンズも好きなんですが、ちょっと癖のある子に惹かれちゃうんですよね。

他の85mmと比較しての感想

同じ焦点距離で比べると、以前作例を撮影したCanon(キヤノン) New FD 85mm F1.2 Lの方がボケのとろみは良かったけど、MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の方が玉ボケは好きです。

描写はCanon(キヤノン) New FD 85mm F1.2 Lの方がカリっとしていたけど、MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の方が柔らかい。
MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)は開放F2のくせに、カリッと感でCanonのF1.2に負けてます。それがまたいい(笑)。

価格も大きく違うので当然といえば当然ですが、設計された時期の違いも大きいのでしょうね。

【関連記事】

オールドレンズ撮り比べ⑮「Canon New FD 85mm F1.2 L」(作例あり)

使いこなしのコツ

ただ、先ほども書きましたが、低めのコントラストに優れた階調のお陰で、ごまかしが効かないレンズでもあります。写真の中に明暗差をしっかり取り入れないと眠たい写真になります。

 

太陽の光があると、メリハリは出せますが、曇りの日の撮影だとなかなか難しいです。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

絞りを開放にはせず、極端にアンダー(暗く)で撮影すると、ある程度パキっとしてきます。
デジタルカメラのイメージセンサーはオーバーで白飛びするよりアンダーで潰れているほうがレタッチの余地があるので、アンダー目の補正をかけて撮影してもよいかもしれませんね。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

この作例のように明暗差がある場所で撮ると、レタッチでの調整はしやすくなりますね。
ミラーレス一眼カメラでは、RAWで撮影するのもおすすめかもしれません。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

 

逆光で絞り開放のF2で撮影した作例。このふんわり感がやっぱり持ち味になるかな。

 

オールドレンズのMC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の作例

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MC Jupiter-9 85mm F2

ここからは中古フィルムカメラとオールドレンズのサンライズカメラ スタッフがMC Jupiter-9 85mm F2について簡単に解説します。

MC Jupiter-9 85mm F2

MC Jupiter-9 85mm F2(M42)

マウントM42マウント他
構成3群7枚
メーカー旧ソ連製
中古価格2万円台~

MC Jupiter-9 85mm F2は旧ソ連で製造がはじまったオールドレンズ。
Jupiter(ジュピター、ロシア語ではユピテル、Юпитер)というのは、主にドイツのカール・ツァイスで設計されたものがもととなったレンズに付けられた名前です。

このJupiter-9も、Carl ZeissのSonnar 8.5cm F2がもととなっています。
3群7枚で、貼り合わせ面が多い、まさにゾナーという構成です。

今回使用したMC Jupiter-9 85mm F2は黒い鏡筒で、記事内でも触れられているようにマルチコートが施されていると思わしきものです。
ただし、原設計は伝統的なもののため、撮影者の技量が出てしまうのも事実です。

作例でもフレアやコントラストの低さが見られましたが、ゾナー8.5cmの原設計が1930年代なので、むしろ伝説のレンズを追体験できる楽しみがあるともいえますね。

Jupiter-9の種類と中古を買うときの注意

さて、Juputer-9と名前のついたレンズを中古で買うときに注意したいことがあります。
それがレンズマウントです。

Jupiter-9(Юпитер-9)とレンズに刻印されているレンズは、光学系は基本的に同じです。
ところが光学系が同一でも、さまざまなレンズマウント向けの製品があるのです。

今回使用したものはM42マウント用ですが、見た目が似ているものに、マウントのネジ径とフランジバックが異なるM39 Zenit用があります。

また、Zorkiなど用に製造されたL39マウント(ライカスクリューマウント)用のものもあります。

Jupiter-9(L39)↑L39(ライカスクリュー)用のJupiter-9

そして、Kiev(キエフ)というレンジファインダーContaxの系譜にあるカメラ用のものもあり、Jupiter-9のなかでも中古価格が安いのですが、旧Contax・Kiev用のマウントアダプターは価格が高いことが多いです。

中古で買う場合、手持ちのマウントアダプターに合っているものか、しっかりチェックするようにしましょう。
フリマアプリなどの中古では、M39 Zenit用とM42マウントを間違えている場合もあります。

M42マウントのJupiter-9は1990年代後半~のいわゆるロシアカメラ・レンズブームでかなりの量が輸入されたので、日本国内にもそれなりの量があります。
中古の入手性はとてもよく、旧ソ連レンズのなかでは価格が高めなものの、状態によっては2万円くらいから、美品の中古でも一桁万円前半でいけるでしょう。

今回使用したミラーレスボディについて

この記事でもミラーレス一眼カメラのボディにはSONY α7 初代を使用しています。
中古ではだいぶ手ごろになったボディですが、十分にレンズの魅力を引き出せますよ。

これからSONYのフルサイズ機をオールドレンズ向けで手に入れるなら――

中古で廉価なフルサイズのミラーレス機が欲しい方にはSONY α7が。 新品でより高性能なフルサイズミラーレス機が欲しい方にはSONY α7 IIIα7 IVがおすすめです。
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MC Jupiter-9 85mm F2 まとめ

正直なところ、ちょっと使いこなすのに時間がかかりそうなオールドレンズと感じました。
逆に言うと、このレンズでステキな写真を撮影している方は、写真の腕があるんだろうなーと。

この癖の強さは好みが分かれそうです。
でも、MC Jupiter-9 85mm F2(ジュピター9)の玉ボケは好きな方は多いのでは?

85mmという焦点距離も含めて、1本目のオールドレンズとしては不向きかもしれません。
だけど、複数台の中の1台としては輝ける。そんなオールドレンズですね。

中古価格も手頃な部類なので、さまざまなオールドレンズを使ってみたいという方におすすめの一本です。

オールドレンズ探訪記 次回の記事はこちら

オールドレンズ探訪記、次回も旧ソ連製レンズ。
ソ連時代の中古レンズ定番中の定番であるJupiter-8 5cm F2(ジュピター8)+ミラーレス一眼カメラの作例をご紹介します。

【オールドレンズ探訪記】Jupiter-8 5cm F2 1955年製の実力とは!?(作例・撮影Tipsあり)

著者紹介: 雨樹 一期(Ichigo Amaki)

フィルムカメラ・トイカメラの多重露光などで作品撮りの傍ら、大阪・東京を中心に全国でフィルムカメラワークショップを開催。
その他、カメラの個人レッスン、ペット・家族の撮影をしています。 基本、娘と猫と珈琲とカレーに生かされてます。

HP : 雨樹一期写真事務所
blog : フィルム寫眞手帖

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