ポートレートにおすすめのオールドレンズ7選 Part1 海外レンズ篇
人物撮影におすすめのポートレートレンズ。
今回は、オールドレンズのなかでもポートレート撮影に最適な焦点距離の中望遠レンズから、おすすめの名玉を2回に分けて紹介していきます。
この記事では海外製(ヤシカ・コンタックスのツァイスレンズ含む)のオールドレンズを紹介します。
Part2では日本メーカーのオールドレンズについて解説するので、ぜひそちらも併せてご覧ください。
写真撮影の醍醐味のひとつ、ポートレート。
雑誌や広告のほとんどに人物写真が使われていることからもわかるように、人が写っている、それだけで見る人に強い印象を与える写真を撮ることが可能です。
しかも、ポートレート撮影に定評があるレンズを使うことで、より美しく、より内面を引き出すような写真が撮れることうけあい。
なかでも美しい背景のボケや髪や肌を引き立てる階調感など、現代レンズには真似できない点が多いオールドレンズはおすすめの道具です。
今回は、中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフが、オールドレンズのなかからおすすめのポートレンズを解説します。
目次
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ポートレートにおすすめのオールドレンズ
ポートレートを撮影するのに最適な中望遠レンズ。
オールドレンズには、いくつもの中望遠レンズの名玉が存在します。
今回は、海外にルーツを持つオールドレンズについて見ていきたいと思います。
ポートレートレンズとは
まず最初に、簡単にポートレートレンズについて解説します。
ポートレートレンズとは、35mmフルサイズ換算で焦点距離85mm前後の、「中望遠」と呼ばれるレンズのこと。
なぜ、85mm前後のレンズがポートレートレンズと呼ばれるのでしょうか?
歪みなく、人物を美しく撮れるレンズ
その理由は、人物をありのまま、美しく撮ることができるレンズであるため。
具体的には、人物を「歪みなく」撮影することができるのです。
カメラ用のレンズには、画角が広くなるほど遠近感が強調されるという特徴があります。
とくに、28mmや24mmなどの広角レンズでは顕著で、近くにあるものはより大きく、遠くにあるものはより小さく写ります。
すると、人物を撮ったとき、顔や身体の輪郭が歪んで写ってしまうという問題が生じるのです。
(もちろん、歪みが表現に利用される場合もあります)
この歪みは50mm前後の標準レンズでも残っています。
そのため、焦点距離が長い、85mm以上のレンズがおすすめされるのです。
ちなみに、レンズの焦点距離が200mmや300mmというように長すぎると、被写体から離れないと撮影できなくなってしまいます。
長すぎるレンズもポートレートに向かないのも、85mm前後がおすすめされる要因です。
(※余談ですが、1980年代には超望遠で背景をボケさせたポートレートが広告で用いられることもあったといいます)
APSやマイクロフォーサーズの場合は
なお、85mm前後が最適なのは35mmフルサイズのカメラの場合。
APS-Cサイズやマイクロフォーサーズのカメラでは、換算焦点距離がそれぞれ約127mm、約170mmとなり、少し画角が狭すぎる感があります。
そこで、APSやマイクロフォーサーズでは、本来35mmフルサイズの標準レンズとして作られたオールドレンズを選ぶのもおすすめです。
50mmレンズの場合、それぞれ約75mm(APS)、100mm(マイクロフォーサーズ)となり、明るいレンズが多いので背景のボケも十分に活かすことができますよ。
標準オールドレンズについては以下の記事で紹介しているので、併せてご覧ください。
おすすめのオールドポートレートレンズ 海外篇
それでは具体的に、ポートレートを撮影するのにおすすめのオールドレンズを見ていきましょう。
今回は、舶来レンズとツァイスレンズを紹介します。
1.Jupiter-9 85mm F2
まず最初に紹介するオールドレンズが、旧ソ連製レンズのジュピターです。
Jupiter-9 85mm F2は、旧ソ連で開発されたオールドレンズ。
旧ソ連で作られたレンズの代表格ともいうべき存在です。
戦前にドイツで設計された、カール・ツァイスのゾナー(Sonnar)8.5cmを基にしており、ツァイスゆずりの美しい描写が、その名声を高めました。
レンズマウントはいくつかありますが、M42マウントとL39マウント(ライカスクリューマウント)のものが、マウントアダプターとの相性がよくおすすめできるでしょう。
絞り開放ではフレアも生じやすく、オールドレンズらしい収差の味が楽しめます。
かっちりとした線がほしいときには、少し絞り込むだけでヌケが急上昇。
全体的にどの絞り値でも階調表現が豊かなのが、中望遠オールドレンズの定番であるゆえんだといえるでしょう。
旧ソ連製レンズの例に漏れず、中古の価格はとてもリーズナブル。
高性能で明るいポートレートレンズのなかでも最も安い部類のため、はじめての中望遠としてもおすすめです。
旧ソ連のレンズ、ジュピターは、以下の記事で解説しています。
対応マウントアダプター
※他のマウントのものもあります。
Jupiter-9 85mm F2の作例
撮影:雨樹一期
作例記事はこちら
【オールドレンズ探訪記】MC Jupiter-9 85mm F2(Jupiter-9)は好みが分かれそうな癖の強さのあるレンズ (作例・撮影Tipsあり)
2.CONTAX Planar T* 85mm F1.4
カール・ツァイスレンズのポートレートレンズの代表格。
それが、Planar T* 85mm F1.4(ヤシカ・コンタックス用)です。
ポートレートレンズとして完全に高評価が定まっており、このレンズを使うだけで一定以上のポートレートを確実に撮影できることは間違いありません。
階調の豊かさやボケの美しさは当然。
それ以上にこのレンズの個性を際立たせているのが、ツァイスのT*レンズならではの発色です。
国内メーカーのレンズとはっきりと差がわかる、けっしてケバケバしくないのに鮮やかに発色するレンズなのです。
使うだけでポートレートのレベルが一目に見えて上がる、名レンズ中の名レンズに違いありません。
Planar 85mm F1.4にはAEG(ドイツ製)、MMJ(日本製)、MMG(ドイツ製)があり、描写も異なるともっぱらの評判です。
写りがより現代的なのはMMレンズなのですが、個性的で豊かな階調のAEレンズも捨てがたいところです。
CONTAXレンズについては以下の記事でも解説しています。
対応マウントアダプター
CONTAX Planar T* 85mm F1.4の作例
撮影:雨樹一期
作例記事はこちら
[オールドレンズ撮り比べ2] Distagon T* 25mm F2.8 / Planar T* 85mm F1.4 カメラマンおすすめのCONTAXレンズ
3.Elmar 9cm F4
レンジファインダー用の中望遠レンズからも1本紹介します。
ライカ純正のElmar(エルマー)9cm F4です。
ライカLマウントのエルマー9cm F4は、もともとバルナックライカ用に作られたレンズ。
レンジファインダー用の望遠は使いにくく人気が低かったのですが、ミラーレス一眼とマウントアダプターを使うことで、しっかりとピントを合わせてポートレートに使えるようになりました。
開放ではふんわり、絞り込むとかっちりする、まさにオールドレンズならではの描写が楽しめるレンズ。
ライカレンズを使っている満足感はなにものにも変えられません。
非常にざっくりと解説するとエルマー9cm F4には2種類あり、戦前から戦後にかけて大量に生産された4枚玉と、1960年代に製造されたトリプレットの3枚構成のものがあります。
L39マウント(ライカスクリューマウント)のものを探す場合、基本的に中古で手に入れやすいのは4枚玉。
4枚玉のエルマー90mmは状態が良くても2万円前後から手に入るので、はじめてのライカレンズとしても非常に購入しやすいといえるでしょう。
おすすめのライカレンズについては以下の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
対応マウントアダプター
オールドレンズでポートレートを撮ってみませんか?
ポートレートは、ただ単に高性能なレンズを使えばよいわけではないのが面白いところ。
個性的な描写のオールドレンズを用いることで、より被写体の人物を美しく、内面まで引き立てることができますよ。
ぜひ、おすすめのオールドレンズでポートレートを撮影してみませんか?
Part2では国産ポートレートレンズを紹介しているので、ぜひこちらもご覧ください。
2023年最新!おすすめミラーレス一眼カメラベスト3!!
オールドレンズを楽しむのにも最適!写真にも動画にもおすすめのフルサイズミラーレス一眼カメラを選ぶならこのカメラ!!
写真・動画どちらもハイクオリティ、迷ったらこの一台!
価格と性能のバランスが取れた名機です!
どこでも持ち歩ける相棒です。
編集履歴
2022年2月26日
オールドレンズ探訪記シリーズ等の作例をもとに、レンズ紹介の文面を修正。
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