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ペンタコンシックスマウントの中判カメラたち 6×6判で手軽にツァイスを味わおう

ペンタコンシックスTL
ペンタコンシックスTL

今回は旧東ドイツで作られた中判一眼レフカメラ、Pentacon Six(ペンタコンシックス)と、ペンタックスシックスマウントの中判カメラについて紹介します。

数多くの機種が存在する、中古の中判一眼レフカメラ。
ハッセルブラッドやゼンザブロニカなどの、中判一眼レフ独自のスタイルのカメラ。
そして、ペンタックス67シリーズのように、35mmフィルム一眼レフをそのまま拡大したようなカメラ。

ペンタコンシックスは、後者に該当します。

実は、35mmフィルム一眼レフカメラをそのまま拡大したタイプのカメラで、6×6判の正方形画面のものというのは多くありません。
というよりも、中古カメラのなかでも、このペンタコンシックスがほぼ唯一の選択肢。
そんな「あるようでない」タイプのカメラであることが、このペンタコンシックス(Pentacon Six)系統のカメラの人気の秘密でもあるのです。

さて、それでは実際のところ、ペンタコンシックスとはどんなカメラで、どんな魅力があるのでしょうか?
中古フィルムカメラ専門店、サンライズカメラのスタッフが紹介します。

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ペンタコンシックス(Pentacon Six)

東ドイツ生まれの中判一眼レフ、ペンタコンシックス(Pentacon Six)。
旧共産圏のカメラとしてとくに中古で人気が高いもののひとつ。
兄弟機種も多く存在します。

まずその特徴とスペックについて紹介します。

ペンタコンシックス(Pentacon Six)の性能とスペック

ペンタコンシックスTL

形式 中判フィルム一眼レフカメラ
シャッター B、1秒〜1/1000秒
機械式
横走布幕フォーカルプレーンシャッター
露出計 なし(Pentacon Six)
TTLプリズムファインダー装着時、TTL測光可能(Pentacon Six TL)
AE なし(マニュアルのみ)
ファインダー 交換式
標準ではウエストレベルファインダーを装備(ペンタコンシックス)
レンズマウント ペンタコンシックスマウント
使用フィルム 120フィルム・220フィルム
電池 不要
TTLプリズムファインダーは要MR-9水銀電池
販売終了品のため、代替電池PX-625(Amazon)
もしくはボタン電池用アダプター(Amazon)にて代替
発売年 1966年(ペンタコンシックス)
1968年(ペンタコンシックス TL)

ペンタコンシックス(Pentacon Six)とは

ペンタコンシックス(Pentacon Six)とは、1968年に旧東ドイツで生まれた中判一眼レフカメラ。

その最大の特徴が、6×6判の「正方形画面」「真四角画面」のカメラながら、35mmフィルム一眼レフカメラをそのまま拡大したようなスタイルであるということです。

実は、ペンタコンシックスは、同様のスタイルのカメラのなかで唯一の、実用的な6×6判の機種として貴重な存在なのです。
現在でも中古で人気が高いのもそのため。

35mmフィルム一眼レフカメラを拡大した中判カメラといえばペンタックス67シリーズが有名ですが、ペンタックス67はその名の通り6×7判

PENTAX 67II ユーザーとともに歩んできた中判一眼レフ

同様の形態の6×6判一眼レフとしては国産のノリタ66なども存在しますがマイナー機種で実用的ではありません。

その点、このペンタコンシックスは、入手も比較的容易で操作も実用的。
さらに、旧東側のカメラということもあり、価格が比較的リーズナブルなのも重要なポイントです。

ハッセルよりずっと安くツァイスレンズが使える中判カメラ

ペンタコンシックス(Pentacon Six)が中古で人気である理由。

その秘密はなんといっても、本物のカール・ツァイス製レンズが使えるということ。

ビオメタ―80mmF2.8

6×6判のツァイスレンズといえばハッセルブラッドが思い浮かびますが、このペンタコンシックスなら、ハッセルブラッドよりもずっと安価に、ツァイスレンズでの撮影を楽しむことが可能。
例えばハッセルブラッド500C/Mをプラナー付きで購入したら10万円はくだりませんが、ペンタコンシックスなら、同じ80mm標準レンズ付きなのに、三分の一程度の価格で手に入ることも。

ツァイスレンズを手頃に楽しめる。
でも、なぜそんなことが可能なのでしょうか?

東ドイツのツァイスと西ドイツのツァイス

じつは、ハッセルブラッドのツァイスレンズと、ペンタコンシックスのツァイスレンズは、同じツァイスでも微妙に違う、血を分けた兄弟のような存在

というのは、じつはハッセルブラッドのツァイスレンズは西ドイツのツァイスで作られていて、ペンタコンシックスのツァイスレンズは東ドイツのツァイスで作られていたのです。

これは、第二次世界大戦でドイツが敗戦し、西ドイツと東ドイツに分断された際に、光学メーカーのカール・ツァイスも東西に分割されたため。

東ドイツのカール・ツァイスは、イエナ(Jena)という都市に本拠をおいたため、カール・ツァイス・イエナ(Carl Zeiss Jena)と呼ばれていました。
ペンタコンシックスのレンズも、このカール・ツァイス・イエナのレンズ。

とはいえ、ツァイスのレンズならではの豊穣な描写と色乗り、空気感は西側ツァイスのレンズに勝るとも劣らないもの。
これは決して根拠のないことを書き連ねているのではなく、実際、ペンタコンシックスはユーザーの間で「非常によく写る」カメラとして定評があるのです。

カール・ツァイス・イエナについてはこちらの記事もご覧ください。

カール・ツァイス・イエナ銘レンズ11選 東ドイツ製で廉価に楽しむツァイスの魅力

ペンタコンシックス小史

ペンタコンシックスTL

さて、ここでペンタコンシックスというフィルムカメラの歴史についても、簡単に書き記したいと思います。

ペンタコンシックスには、実は源流となったカメラが存在します。
それが、1957年に登場したプラクチシックス(Praktisix)I型

このプラクチシックスで採用されたレンズマウントはペンタコンシックスのマウントと同一で、レンズにも互換性があります。

プラクチシックスは、その名のとおり、35mm一眼レフカメラのプラクチカ(Praktica)と同じメーカーが製造したカメラでした。
なお、プラクチシックスの製造元はカメラ・ウェルクシュテーテン・グーテ&トルシュ(Kamerawerkstätten Guthe & Thorsch GmbH)という非常に長い名称で、一般に「KW」と略されます。
プラクチシックスの製造中にKW社は、旧東独ツァイス・イコンの流れに合流。
徐々に統合した東独の光学機器メーカーは、1964年にペンタコン人民公社を発足させることとなります。

ペンタコンシックスTL

そんななか、1966年には、この記事で紹介しているペンタコンシックスが登場。
1968年にはTTL露出計を搭載したペンタコンシックスTLを送り出します。

そして、プラクチシックスから受け継いだレンズマウントは、旧東側、共産圏の中判一眼レフカメラで居通して使用される「ユニバーサルマウント」となり、ペンタコンシックス以外でも使われるようになっていくのです。

キエフ60のペンタコンシックスマウント
ペンタコンシックスマウント(カメラはキエフ60)

ペンタコンという名称の由来

カメラ名にも用いられた「ペンタコン」という単語。

これは、「ペンタプリズムのついたコンタックス」を意味します。

戦後、東西に分裂したカール・ツァイス(ツァイス・イコン)。
商標の問題で、西独カール・ツァイスは東側ではそれまでのブランドを使用できず、いっぽう東独カール・ツァイスも西側でそれまでのブランドを使用することができなくなってしまったのでした。

そこで東独カール・ツァイスは、当時生産していた、ペンタプリズムを搭載したコンタックスブランド35mm一眼レフをペンタコンと名付けます。

それがきっかけで、徐々にペンタコンというブランドが広く用いられるようになり、ついには会社名になっていったのです。

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ペンタコンシックス(Pentacon Six)各機種紹介

さて、それではここから、ペンタコンシックスのそれぞれの機種について紹介していきます。

ペンタコンシックス(Pentacon Six)

noimage

1966年に登場したペンタコンシックス(Pentacon Six)は、このシリーズの基本となる機種。

機構的にはこの時点でほぼ完成しています。

交換式のファインダーは標準ではウエストレベルファインダーを装備。
アイレベルファインダーも存在しますが、中古で手に入れる場合、お店にあるのはほとんどがウエストレベルファインダー付きになると思います。

なお、各機種に共通しますが、内部機構はクイックリターンミラーではないので、シャッターを切るたびにファインダーは真っ暗になり、巻き上げるとミラーが下りてファインダーが見えるようになります。

標準レンズはBiometar 80mm F2.8(ビオメター)です。

ペンタコンシックスTL(Pentacon Six TL)

ペンタコンシックスTL

1968年に登場したペンタコンシックスTL(Pentacon Six TL)では、TTL測光に対応しました。

識別点は、カメラ前面の刻印。
ペンタコンシックスTLには、「TL」と刻印されています。

ただし、現在の目で見ると、露出計の実用性はほぼないといってよいでしょう。
中古で購入する際にも、ペンタコンシックスTLであっても、露出計のないウエストレベルファインダーが装着されているものが多いです。

基本的には、露出計は単体露出計を用いることを前提にするのがおすすめです。

中古を購入する際には、ペンタコンシックスかペンタコンシックスTLかは大きな問題ではなく、むしろ中古の個体の状態で選ぶとよいでしょう。

標準レンズはBiometar 80mm F2.8(ビオメター)です。

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ペンタコンシックスのおすすめレンズ

ツァイスのレンズがリーズナブルに使える6×6判一眼レフ、ペンタコンシックス。

それでは、具体的にはどんなレンズがおすすめなのでしょうか?

Biometar 80mm F2.8

Biometar 80mm F2.8

まず、ペンタコンシックスを購入したときに、高確率でセットでついてくるレンズ、Biometar(ビオメター) 80mm F2.8

立ち位置としては西独ツァイスのプラナーに相当するレンズですが、共通するのは描写の素晴らしさだけで、それ以外はまったく別のレンズ。

同じツァイスを名乗っていますが、プラナーとは全く異なる描写を楽しむことができますよ。

特徴は、とにかくよく写るということ。
空気をそのまま切り取ったかのような静謐な描写。

水面にさざなみが立つ音のひとつひとつまで写し取れるかのような、心に訴えかける描写を味わえます。

このBiometarは、ダブルガウスレンズの後玉をトポゴンと同様のものに変えたクセノタールタイプ。
解像力もコントラストも良好なことで知られており、東独ツァイスが生み出したレンズの中でもとくに出色の名レンズのひとつだといえるのではないでしょうか。

Flektogon 50mm F4

Flektogon 50mm F4

Flektogon(フレクトゴン) 50mm F4は、ペンタコンシックスマウントの広角レンズの中でももっとも有名なもののひとつ。

その名の通り、レトロフォーカス(逆望遠)タイプの広角レンズで、35mm換算で約27mmとなります。

こちらのレンズもBiometar同様、解像力もコントラストも非常に良好で、東独ツァイスが生み出した名玉のひとつとして、中古でとくに人気の高いレンズです。

設計されてからゆうに40年以上経っているレトロフォーカスレンズながら、歪曲収差含め非常に良好に収差が補正されているのは驚きというほかありません。

ペンタコンシックスの兄弟たち

さて、そんなペンタコンシックスには、同じペンタコンシックスマウントを採用した兄弟とも呼べるカメラが存在します。

キエフ6C(Kiev 6C)とキエフ60

キエフ60

キエフ6Cは、旧ソ連でペンタコンシックスをコピーしたカメラ。
そのため機能やレンズマウントはほぼ同一です。

ウクライナの光学機器メーカー、アーセナル(Arsenal)で製造されました。
1971年前後に製造開始されたといわれています。

同一のボディにTTLファインダーを装着したキエフ6C TTLと、改良型のキエフ60が存在します。

なおこのカメラは一般にキエフ6Cと表記されますが、キリル文字の「С」(アルファベットのCとは異なる)のため、ラテン文字に転写してキエフ6Sと表記されることもあります。

キエフ60

ARAXについて

ARAXは21世紀になって登場した業者。
ウクライナのキエフに所在する会社で、キエフ6Cを独自に整備・改造して信頼性を高めたうえで販売しています

キエフ6Cの銘板がARAXに変わった以外は基本的に同じですが、内部機構のクオリティが桁違いなため、実用の選択肢として選んでみるのもよいでしょう。

2022年現在でもウクライナより直販が行われています。

ARAX公式Webサイト
https://araxfoto.com/

エキサクタ66(EXAKTA 66)

エキサクタ66(EXAKTA 66)は、基本的にペンタコンシックスの中身はそのままに、外装だけをモダンなものに変えたカメラ。
プラスチックも取り入れられたモダンな見た目ですが、作りは案外しっかりしているようです。

1984年に発表され、改良を繰り返しながら、なんと2000年まで現役で製造されていたとのことです。

魅力は、標準レンズがシュナイダーのXenotar(クセノタール)80mm F2.8ということ。

エキサクタ66用クセノタール80mm F2.8
エキサクタ66用クセノタール80mm F2.8

もちろんペンタコンシックスでも使えるので、興味のある方はレンズを中古で探してみるのもよいでしょう。

中判カメラならサンライズカメラ
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ペンタコンシックス 中古購入時のチェックポイント

ペンタコンシックスTL

さて、この記事で紹介してきたペンタコンシックスは、癖のあるカメラとしても知られています。

そのため、中古購入時にはコンディションに注意する必要があります。

シャッター動作に注意(とくに1/125秒)

ペンタコンシックスには、一部のシャッター速度、とくに1/125秒の動作に不具合があるものが混じっています。

これは内部機構の素材・加工がよくないことと、機構上1/125秒部分の動作が渋くなりやすいため

そのため、しっかりとメンテナンスされている個体を選ぶことが重要となります。

コマ被りに注意

ペンタコンシックスのトラブルでありがちなのが、フィルムのコマ被り

撮影したコマとコマが重なってしまうことがあるのです。

こちらも、しっかりと整備された、保証のある個体を選ぶことである程度回避可能です。

ペンタコンシックスを購入する際には、しっかりと保証のある、信頼できるお店で購入するようにしましょう。

おすすめの120フィルム(中判フィルム)

中判カメラで使う120フィルムは、以下のものがおすすめです。 ポジフィルム(リバーサルフィルム)で撮影するなら、富士フイルムのPROVIA 100Fが定番です。
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6×6判一眼レフの魅力ある選択肢

あるようでなかなかない、6×6判のフィルム一眼レフ。

ハッセルやブロニカのようなスタイルではなく、35mmフィルム一眼レフカメラ同様の撮影を楽しみたいときに、ペンタコンシックスは非常に心強い選択肢になることでしょう。

東独ツァイスの一級品のレンズが、世界を美しく切り取ってくれますよ。

ぜひあなたもペンタコンシックスでツァイスを味わってみてくださいね!

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著者紹介: サンライズカメラ

サンライズカメラは、いまでは数少なくなってしまった「フィルムカメラ専門店」の使命として、フィルムカメラに関する情報を公開し続けています。 「こんな記事が読みたい」というご要望がありましたら、お気軽にFacebook、Twitter、お問い合わせフォームなどからご連絡ください。カメラ愛好家のみなさん、これからフィルムを始めたいみなさんとお話できることを楽しみに待っています。

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