FUJIFILM KLASSE クラッセ Wは、2006年に発売された単焦点コンパクトカメラ。

35mmフィルムを使用するAFコンパクトカメラは1980年以来数多く販売されてきましたが、KLASSE Wはその末席に位置する、最も爛熟したカメラだと呼べるでしょう。

搭載する「SUPER EBC FUJINON 28mm F2.8」は、現代的なレンズ構成とコーティングを兼ね備えた、精密な描写のなかに柔らかみを含んだレンズ。

そのような高性能レンズを搭載していながら、いわゆる高級コンパクトカメラほど肩肘を張らずに使うことができるのも魅力です。
そのため、中古店では即ジャンク籠行きの普通のコンパクトと違い、KLASSE Wの中古はしっかりとメンテナンスされて販売されることが多いです。

フィルムカメラからデジタルカメラに移り変わる時代に、35mmコンパクトカメラの集大成として開発されたカメラ、それがKLASSE W。
中古でコンパクトカメラを買うときの決め手。
このカメラはいったいどんな魅力を秘めているのでしょうか。

中古カメラ専門店サンライズカメラのスタッフが紹介します！

FUJIFILM KLASSE W

FUJIFILM KLASSE Wは35mmコンパクトとしては最も新しい部類のカメラ。
完全新規開発されたコンパクトカメラとして、フィルムカメラの歴史の末席に名を残す1台だといえるでしょう。

KLASSE Wの性能・スペック

形式	35mmコンパクトカメラ
シャッター	レンズシャッター 1/2秒〜1/500秒（開放時）、1/1000秒（F16時）
レンズ	SUPER EBC FUJINON 28mm F2.8
露出計	測光IC外部測光
AE	プログラムAE 絞り優先AE
ファインダー	実像式ファインダー
AF	パッシブ式オートフォーカス マニュアルフォーカス可能
電池	CR2 リチウム電池(Amazon)x1
発売年	2006年

参考：FUJIFILM公式WebサイトよりクラッセWブラック（2021年3月29日閲覧）
https://www.FUJIFILM.com/jp/ja/consumer/support/filmcameras/Klassew-black

FUJIFILM KLASSE Wの性能・スペックは、カタログ上のものだけみればスタンダードな点がたくさんあります。
見た目に関しても中古では値段がつかないただのコンパクトと似ています。

しかしながら、それまでの35mmフィルムコンパクトカメラの集大成として、不便だった部分、ユーザーからの要望が多かった機能をすべて盛り込んでいます。

搭載レンズは5群6枚のSUPER EBC FUJINON 28mm F2.8。

自動巻き上げ、自動巻き戻し搭載。
オートフォーカスはフォーカスロックも可能で、しかもマニュアルフォーカスも可能です。

露出はプログラムAEと絞り優先AE。
1/2段ごと、2段までの露出補正も可能です。

シャッターの最高速は、絞り開放で1/500まで、絞り込んだ際には1/1000まで使用可能です。

このようなスペックを見ればわかるとおり、KLASSE Wは羊の皮を被った狼。
一見するとただのコンパクトのような気軽なカメラに見えますが、中古人気の高い高級コンパクトにも比類する内容です。

気軽に肩肘張らず使える軽快さを持っていながら、チタン外装の高級コンパクトカメラにもけっして負けない、全部乗せの機能を備えているのです。

設計の新しさから、もしかすると下手な高級コンパクトを中古で探すよりも快適に撮影が楽しめるかもしれません。

[FUJIFILM]

SUPER EBC FUJINON 28mm F2.8

FUJIFILMが伝統的にレンズに施してきたEBC（エレクトリック・ビーム・コーティング）。
EBCコーティングが施されたレンズは性能に定評があり、中古でもなかなかの人気があります。

このKLASSE Wのレンズ、SUPER EBC FUJINON 28mm F2.8には、コンパクトカメラとして最も完成されたコーティングが施されています。

EBCコーティングの特長、それは非常に乱反射が少なく、とても抜けのよい写真が撮れるということ。
並のコンパクトカメラでは画質や階調が眠くなってしまうような光線条件でも、KLASSE Wならレンズ本来の性能を完全に引き出すことが可能です。

そしてKLASSE Wのレンズ自体は、精密な解像が可能ながらけっして硬くなりすぎないもの。

逆光で、夕日で、夏の直射日光で、どんな光線条件でも、質感あふれるイメージを描き出してくれるのです。

もしかすると、高級コンパクトカメラ以上に、条件がぴったり合ったときにはよい描写をしてくれる可能性さえあります。

絞り優先オートで自由な写真表現

KLASSE Wは趣味の写真や芸術としての写真表現にも十分活躍してくれるカメラ。

その理由の1つが、搭載している絞り優先オートです。

絞り優先AEはストリートスナップやキャンディッド・フォトに最も適している露出モード。
もっともモダンなFUJINONレンズで、あなたの心象風景そのままに世界を切り取ることができますよ。

プログラムAEと絞り優先オートという組み合わせは、あの名機、RICOH GR1を彷彿とさせるもの。
高級コンパクトカメラや写真家のための武器と同じ機能を、軽快なボディで存分に扱うことができるのです。

しかもGR1シリーズは中古でしか手に入らず、実際に撮影するカメラとしてはコンディションが悪いものも多くなっています。
まだ比較的年式の新しいKLASSE Wには、その点でも安心感があるでしょう。

[FUJIFILM]

一瞬で把握できる良好な操作性

そして、このKLASSE Wは、誰でも一瞬で把握できる操作性までをも実現しています。

操作系は基本的にダイヤル操作。
こちらもまた、中古高級コンパクトを彷彿とさせる特徴です。

一例を挙げれば、ボディ肩部に搭載された露出ダイヤルでは、プログラムモードと絞り優先用の絞り値を同軸で切り替えることが可能となっています。
そのため、プログラムモードから絞り優先へ、一瞬で切り替えることが可能なのです。

また露出補正ダイヤルはボディ前面、レンズの横に設置。
こちらもダイヤル式で現在の補正値がすぐに把握できるため、光線状態に合わせて適切な露出をすぐに実現することができますよ。

KLASSE Wのおすすめの使い方は、フォーカスはAFに任せて、自由自在に露出を操るということ。
コンパクトカメラという小さな暗箱を用いて、世界のなかにあふれている光を、あなたの思うがままにフィルムへ焼きつけることができますよ。

また、オートとマニュアルのバランスがよく、オートでも十分に撮影できるので、はじめてのフィルムカメラを中古で手にする、という場合でも、戸惑うことなく使うことができると思います。
まずは気軽なカメラで中古フィルムカメラに入門したい、というときもおすすめです。

コンパクトカメラで気軽な撮影

KLASSE Wは充実した性能の魅力的なカメラ。
ですがコンパクトカメラにはほかにも名機がたくさん存在します。

コンパクトカメラに興味があったら、ぜひこちらの記事もご覧ください。

フィルム高級コンパクトカメラ大全集 ぜひ中古で入手したいチタンボディの魅力とは

[2024年最新] 写ルンですよりお得に長く使える!? 3万円以下で買えるオススメフィルムカメラ10選

KLASSE Wにおすすめの撮影用品

電池はCR2 リチウム電池が対応します。

35mmフィルムはこちらがおすすめです。

FUJIFILM KLASSEシリーズのレビュー記事

こちらの記事では、FUJIFILM KLASSEシリーズのひとつ、KLASSEの作例を紹介しています！
ぜひご覧ください。

カメラ女子にオススメ！FUJIFILM KLASSE（富士フイルム クラッセ）で日常に彩を。【旅×フィルムカメラ第8弾】

羊の皮を被った狼 FUJIFILM KLASSE W

このように、FUJIFILM KLASSE Wは、高級コンパクトカメラ並みの機能を詰め込んだ、まさに羊の皮を被った狼のようなカメラ。
中古の高級コンパクトを買うよりも、状態の良い中古個体が多く、設計も新しいこちらのほうが、より実用的である可能性も。

普通の中古コンパクトカメラとは格が違うのです。

見た目は普通のコンパクトカメラのように見えながら、質感と量感あふれる世界を、意図したとおりに写し撮ることができますよ。

2006年の発売から時間が経過していますが、状態のよい中古も非常に多いKLASSE W。
ぜひKLASSE Wという自由なコンパクトカメラを中古で手に入れて、あなたが見ている世界を記録してみませんか？

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記事更新履歴

2021年3月29日

• 参考文献に富士フイルム公式Webサイトを明記
• 新品の市場在庫が残っていることを想定して書かれた記述を修正